前川進介の政治日記

議会報告 2022.6.15

「有機の里」丹波市は、「肥料高騰」「燃やすごみ減量化」のダブルパンチを逆手に取って、日本の有機農業のリーダーに!

燃やすごみの減量化に向けた市民の活動

このブログで何度も訴えている通り、丹波市はクリーンセンターが安定稼働できないほど燃やすごみの量が増加してきています。だから私はごみ量が増加傾向のタイミングで提案された「燃やすごみ袋料金の半額化議案」には反対しました。まずはごみ減量化施策を行ってからじゃないと、市長公約とは言えあまりにも無責任すぎます。

そんな政治のいざこざを尻目に、丹波市のごみ減量化に向けて主体的、能動的に活動をされている市民がおられます。中でも印象的なのは生ごみを消滅させる「キエーロ」の関係者ですかね。キエーロの普及のために情報発信してこられた大地さんや、間伐材のヒノキを活用して受注生産を始められた「平松区森林愛好会」の皆さんたちの活動によって、最近では市内各地でキエーロが目に留まるようになりました。

我が家では、基本的に生ごみは飼っている鶏に食べさせているんですが、味の濃いものや脂っこいものは鶏の餌としては不向きです。その点キエーロなら大丈夫。土中微生物のチカラで分解してくれます。また、逆にキエーロでは分解しづらい卵の殻や魚の骨などは、実は鶏の大好物。つまり、鶏とキエーロのコンビネーションは生ごみ対策にバッチリなんですよ。そんなわけで、「平松区森林愛好会」の皆さんにお世話になって、我が家もキエーロを導入しました。

我が家に設置したキエーロ



今では我が家の生ごみだけでなく、私が関わっている「手打ち蕎麦 木琴」や、友人の花ちゃんが経営する「BBQ & Burger BP(ベル ピーマン)」の生ごみも運び込まれるようになっています。ここに持ってくると通常は廃棄にお金がかかる生ごみを、鶏に与えるかキエーロに入れるかで無料で手放すことができるうえ、その鶏が産む放し飼い卵を「エサ割」で買うことができます(笑)

ベルピーマンの生ごみを鶏に与える花ちゃん



群がる鶏にエサを与えるアクテビティが楽しいらしく、親子でエサやりを楽しんでいる常連さんもおられます。

生ごみをエサにしている放し飼いの鶏が産んだ卵



こんなことを言うと、田舎のほっこりとした情景が浮かぶかもしれませんが、実はエコの観点からも地域経済活性化の観点からも、そして安定した食料供給の観点からも、こうした循環が大事だと私は考えています。

今回のブログは、この循環について深掘りしていきます。



学校給食における燃やすごみの減量化

6/8(水)に、6月定例会の一般質問を行いました。私の質問の3番目、4番目は、

3. 学校給食における燃やすごみの減量化施策
4. まずは認定こども園等の給食から有機農産物の導入を

で、実はこの2点で言いたいことは繋がっているので、この順番で連続して質問を行いました。


まず前半の

3. 学校給食における燃やすごみの減量化施策

で最初に訴えた内容は、「学校給食センターで出されている生ごみの減量化は見かけ倒しで意味がない!」っていう話です。


まず、世の中にある生ごみ処理機には大きく分けて3つの方式があるので、その前提の共有から。


①焼却方式・・・その場で燃やし切る
②乾燥方式・・・裁断して乾燥させ嵩(かさ)を減らす
③バクテリア方式
  堆肥型・・・微生物のチカラで堆肥化させる
  消滅型・・・微生物のチカラで分解させて液状にする




で、丹波市教育委員会は青垣学校給食センターと春日学校給食センターに、②乾燥方式の生ごみ処理機を導入しているんですけど、私からするとこの選択が大間違いだと考えています。

そもそも、なんですけど、燃やすごみの大半が有機物であることを考えると、燃やすごみの量を減らすということは、燃焼する素を減らすことです。元素でいうと炭素(C)と水素(H)を減らしましょう、ということですね。


有機物の燃焼反応式
有機物 + 酸素 →  二酸化炭素 + 水(水蒸気、煙)
(C,H)  (O2)   (CO2)      (H2O)
(なぜか数字が上付に表示されちゃう・・)




私が問題視している乾燥方式の生ごみ処理は、水素量は減っても炭素量は減りません。

「水分が減っただけでも減量化の効果があるじゃないか」

と思われるかもしれませんが、実は全く効果がないんです(泣)

というのも、燃やすごみにおける生ごみ比率が高い(水分量が多い)都市部においては、焼却炉で燃焼させる際に重油を投入するくらいなんで、あらかじめ水分量を減らしておくことに意味はあります。

しかしながら丹波市の場合は、元々生ごみ等の水分含有量が低いからか、クリーンセンターで焼却する際には燃え過ぎて高温になりがちで、炉を傷めないために逆に水をかけているのが現状なんですよ。

加熱して水気を飛ばして、管理と運搬をラクにして、運んだ先で水を加えて戻すこの手法は、濃縮還元ジュースのそれと同じです。つまり、中身は減ってないんです。

生ごみの悪臭を防いだり持ち運びをラクにしたりする意味においては意味がありますので、一般家庭から出される生ごみは水気を切って出すことが推奨されていますが、燃やすごみを減量化する意味合いにおいてのみ考えると、学校給食センターが生ごみに含まれる水分をわざわざ電気代を払ってまでして乾燥させる必要なんて無いわけです。だってどうせ後から水をかけるんだから。


だから、丹波市における燃やすごみの減量化において、炭素量が減っていない見た目の「減量化」には意味がないと指摘したんです。

それにも関わらず、こんな答弁ありますか?

答弁書

生ごみと比べ、容積比3分の1から5分の1に減量化できております。



だからその容積比に意味がない!って言う話をしているのに、なんて不誠実な答弁だこと!改善する気がないんでしょうね。市民側からせっかく改善案を提案しているのに、詭弁を使うんですか。我々の税金を使っていつまで無駄に「濃縮還元ジュース」を作るんでしょうか。この点については次回9月議会の決算審査で粛々と追求します。

また昨年12月の補正予算審査の際にもこの問題を取り上げ、私はそもそも生ごみを燃やさずに飼料化できないかと質疑しました。そこから彼らなりに考えたらしいですけど、「飼料化は困難」という結論に至るのが、私からすると早すぎますね。なんでも豚のエサにするには量が足りないという判断やったららしいですけど、鶏のエサにできないか検討した??市内にある養鶏場の社長と話をしたけど、そんな相談はなかったみたいですしね。あーもったいない。

というのもですね、この丹波市教育委員会の一連の対応は、今の世界情勢に対して丹波市が取るべき行為の真逆やと思うんですよ。

ここからは

4. まずは認定こども園等の給食から有機農産物の導入を

に繋がってくる話です。



ウッドショックの背景


少し話は変わりますが、昨年から木材価格が高騰している「ウッドショック」が起きていますよね。海外から木材が入ってこなくなって、木材価格が高騰しているわけなんですが、でもね、なんか不思議じゃないですか?丹波市なんて四方八方が山ですよ。その山にはたくさんの木々が立ち並んでいるのに「ウッドショック」って。

これは、資本主義社会ではある意味仕方ないことだとは思いますが、

❶山の木を伐り出す
❷切り出した木を製材する
❸製材した材木で家を建てる



という工程に分業化された業界において、利益を追求するハウスメーカー(❸)からすると、できるだけ手間をかけず安く仕入れたいわけですから、日本の山に入って伐り出して製材した木材よりも、海外から仕入れる外材の方が安いのであれば、そりゃそっちを選びますわな。

その結果、日本の❶❷産業が廃れてしまい、資源はあるのに活用する能力を落としてしまったんですね。だから日本の山林は整備が行き届かなくなり、土砂災害が起きやすくなってしまいました。

そしてさらに、海外の需要事情で木材が入ってこなくなると、そりゃ価格は高騰しますよね。丹波市でも公園の工事が延期されたり、この冬に着工した我が家の大工工事も当初見積もりの倍の工事費となったりで、その影響を肌で感じることになりました。

丹波市には豊かな山林があるのにその資源が使えないなんて、なんと皮肉なことでしょう。

そしてそれと同じような状況が、次は農地で起こるかもしれません。


「ウッドショック」の次は、「慣行農業ショック」?


6月に入り、飼料価格、肥料価格が過去最高値を更新しました。慣行農業で使う化成肥料の中には、2倍近くまで高騰した肥料もあります。

今回の価格高騰の背景には、ウッドショックと同じで、食を生み出す飼料や肥料の海外への依存度が高いことが挙げられます。飼料で75%、化学肥料成分に至っては窒素96%、リン酸100%、カリ100%も依存していて、その多くが中国やロシアに依存しているわけですから、そりゃ今の世界情勢だと高騰しますよね。

❶肥料原料を提供する
❷肥料を作る
❸その肥料で農産物を栽培する



現状ではこの❶の部分をほぼ海外に握られてしまっているわけです。
(食料自給率の低さを考えると❸も半ば手放しているようなもんですが)

その点、有機農業は多くの場合❶❷❸を地域内で賄っていると言えるかもしれません。身近な有機物を微生物のチカラで分解させて肥料にし、農薬も使わずに栽培する方法ですが、これには相応の手間がかかります。だから比較的安くて簡単な化学肥料を使う慣行農業に流れちゃうんでしょうね。結果的に日本の有機栽培は耕地面積割合で全体の1%未満という現状です。

つまり99%以上が慣行農業であるわけですが、海外から入ってくる化学肥料がこれだけ値上がりすると、農家は大打撃ですよ。この肥料の高騰が続けば耕作放棄地が増えることも懸念されます。「ウッドショック」の次は「慣行農業ショック」ですか。

豊かな山林、豊かな有機物。田舎に資源があるのに使いこなせていないのが日本の現状だと言うことです。

大量消費社会の中で大量生産を可能としてきた慣行農業は、それはそれで役割があったわけですが、この海外依存という大きなメカニズムに組み込まれた農業であることは否定できません。海外からのサプライチェーンを切られたら終わりという、この食料システムはとても脆弱です。しかも依存相手に中国、ロシアがいるわけですから、いつ兵糧攻めが起きてもおかしくない。いや、もうすでに始まってるか。真綿で首を絞められています。

また海外から飼料肥料を輸入するということは、日本円を海外に流出させているわけですよね。今回の高騰によって政府が補助金を出すのかもしれませんが、その補助分は農家に行き着くのではなく、最終的に海外に流れ出て、儲かるのは外国企業です。

また食料・飼料・肥料・燃料を相手に握られていたら、外交も不利でしょうね。足元見られますよ。

日本国内に資源があるのに、それを流通させずに海外にお金を放り出してしまうようでは、国内の賃金だって上げづらいし、GDPも上がらない。さらに外交も不利となれば、国力が上がってきません。

この国策は様々な要因があってのことだとは思いますが、じわりじわりとボディブローのように効いてきて、ついにここでストレートを打たれたというところでしょうか。経済的にも健康的にも環境的にも、日本はダウン寸前かもしれません。



みどりの食料システム戦略を活用しよう

そんなストレートを打たれる1年前の令和3年5月、農林水産省は「みどりの食料システム戦略」を決定し、2050年までに有機農業の面積を全体の25%まで拡大する目標を示しました(現状は1%未満)

有機農業は、ざっくりとした言い方をすると、刈り草、落ち葉、家畜の糞など身近にある有機物を、微生物を活用しながら肥料にして栽培する方法です。輸入原料に頼らずに済むので、とても自立的な農業と言えます。

慣行農業には慣行農業の役割があるのでしょうし、今後も継続すればよいと思いますが、とは言え、99%以上が慣行農業であるという割合は極端すぎると言えるでしょう。もうすでに始まった兵糧攻めから日本国民を守るためには、今こそ有機農業の面積割合を増やすべきだと私は考えます。

そしてタイミングも良く、国が「緑の食料システム戦略」を掲げてくれました。これまでは慣行農業との兼ね合いで行政は有機農業を広めにくかったかもしれないけど、もう国策だからとエクスキューズできるようになったわけです。この戦略を盾に、今こそ有機農業を広げていくべきだと思います。

先日の一般質問答弁書には「有機農産物を次世代の子ども達に知ってもらう、触れてもらう機会を創り、その啓発を通じて保護者の方々にも理解してもらうことで、環境創造型農業の一つである有機農業の認知度を向上させたいと考える」などと書いてありますが、そんなメルヘンチックな話じゃなくて、今そこにあるリアルな危機感を持つべき話でしょうから。

今ひとつピンとこないかもしれないけど、実際に先日、あるホームセンターで売られている鶏のエサ20kgが、1,480円から2,180円に値上がりしていました。これまで「物価の優等生」と言われてきた卵ですが、生産原価に占める割合が高い飼料がこれだけ値上がりすると、さすがに販売価格に転嫁せざるを得ないでしょう。「物価の優等生」の値上がりは国民に衝撃を与えると思いますよ。特に低所得者への影響が大きい。

コロナパンデミックやウクライナ戦争によって引き起こされた世界的なサプライチェーンの破綻に加え、20年ぶりの円安水準ときたら、卵に続いてこれから農産物の高騰は必至です。

「ウッドショック」と「慣行農業ショック」から我々が学ぶべきは、山林資源をフル活用した林業と、身近な有機物をフル活用する農業を復活させることであり、そうした一次産業の在り方へ導くことが、我が国の政治に求められている方向性だと考えています。

だからさ、昨年12月の補正予算審査での私の提案を真摯に受け止めてくれていたなら、もしかしたら丹波市内で生産される卵の値段をちょっとでも抑えることができたかもしれないのにな、あーあー、もったいない。



「有機の里」丹波市が持つ使命

そんな危機に瀕している今の日本ですが、中でも丹波市の役割は大きいと思いますよ。だって、「有機の里」を標榜していて、有機農業を学ぶ「農の学校」まで立ち上げたんだから、この国難の先頭に立って日本をリードしていかなきゃ。

さらにですよ、丹波市は燃やすごみの減量化が喫緊の課題です。そしてそのごみの中には飼料や肥料にできる有機物が混ざっているんです。「混ぜればゴミ 分ければ資源」なんでしょ?

丹波市さんが言うてはります




「慣行農業ショック」と燃やすごみ減量化というダブルパンチを食らっている「有機の里」丹波市なんだから、こんなの逆手に取って業界の最先端を突っ走ったらいいんですよ。そういうビジョンを掲げて丹波市を引っ張っていくのが市長の役割でしょう。学校給食から出た生ごみを捨てて燃やすのを許している場合じゃないんですよ、ほんと。ピンチはチャンスと言いますが、今のままではピンチのまんま。市長には国難を打開するリーダーらしく振る舞っていただきたいと思っています。



改革は、テクノロジーの進化と政治判断の両輪で起こる

私も去年から化学肥料も農薬も使わずに有機農業っぽく野菜を栽培していますが、確かに雑草の処理には手を焼きますし、ちょっと気を抜いて雑草だらけになってしまうと、風通しが悪くなって病気になってしまうこともありました。野菜のことだけでなく、もっと菌など微生物のことも勉強しなきゃならんなと考えている2年目の兼業農家です。

そんな面倒が多い有機栽培ですから、生産者側からすると敬遠したい栽培方法だと思いますが、今はもう令和も4年目になりました。AIやロボットの開発も進み、従来では労力の大きかった有機栽培も、ずいぶんとラクできるようになってきたみたいですよ。

例えば、有機米の雑草対策には合鴨農法を模した「アイガモロボット」。まるでルンバのように全自動で水田の中を動き、泥を掻き上げ水を濁し、日光を通させないことで雑草の成長を抑え込む仕組みなんですって。なるほど〜。

またAI搭載除草マシーンもあるみたいですね。前方についているカメラで野菜と雑草を区別して、雑草のみを除いていくマシーン。AIに機械学習させれば様々な作物に対応できそうです。

また、燃やすごみの減量化についてもテクノロジーを駆使したらいいと思っています。生ごみ処理機には「焼却方式」「乾燥方式」「バクテリア方式」があると前述しましたが、「バクテリア方式」の消滅型を用いると、バクテリアの力で24時間もすれば生ごみは液体に変えることができます。さらにこの液体は養分を多量に含んでいるので、その液体から堆肥を作ることもできるんですね。

丹波市教育委員会の答弁書には

この『バイオ式生ごみ処理機』につきましては、給食センターの洗浄室から屋外への給排水設備を必要といたしますので、給食センター建設時でなければ設置できないものであり、



という言い訳が書いてありますが、だから今は令和も4年目なんだってば。後付けできる「バクテリア方式」消滅型の生ごみ処理機は開発され、流通もしています。「給食センター建設時でなければ設置できない」って、いつの時代の話やねん。

また、

生ごみに異物が混入していないことがクリアできないと飼料化は困難である



と、異物に関しての記載もあります。だから、混ぜずに分けたらええんちゃうの?

丹波市さんが言うてはりますやん


これだけ市民に分別を求めていながら行政はやろうとしないなんて、そんなとんでもないことをよく公の場で言えますよね。それに、バクテリア方式消滅型だと、バクテリアで分解できる野菜クズなどの有機物は液状になりますが、ビニール類や金属等の無機物は当然ながら分解されず、処理機の底に残ります。さすがにそれだったら分別できるでしょう。

本会議の場において、そこまで調べたのかと再質問したら、「前からこの方式だったから・・」という旧態依然を是とする答弁でした。ネットで調べたらすぐわかるようなことすら調べもしないなんて、「調べ学習」している子どもたちに笑われますよ。

これって身銭を切らないからですかね。自宅に据える生ごみ処理機やったらいろいろと調べそうですけど、我々の税金を使う公共物だったらちょっとググる程度のモチベーションすら出ないのかな。

今の世の中、最新のテクノロジーを駆使すれば、これまでできなかった様々なことができるようになっています。後は行政がその日進月歩のテクノロジーをキャッチアップして、市民生活の中に導入できる体制を整えようとする気があるかどうか。せっかくテクノロジーが進化しても、政治が怠慢だと市民生活は向上しません。



流通が難しいからこそ、まずはこども園の給食から導入すべし

私が一般質問で提案したのは、市内の各認定こども園等が給食に有機農産物を使った場合、慣行農産物と有機農産物との差額を補填する補助金を創設できないか、という内容で、市長は答弁の中で「有機食材は流通が難しい」という懸念点を示されました。

流通が難しいことは百も承知ですよ。だから、いきなり学校給食という大規模システムで始めるのではなく、こども園という各地域にある小規模な給食システムで試験的に始めることから支援しましょう、っていう話をしているんです。

しかも、認定こども園の運営は社会福祉法人という民間事業者です。行政よりかは融通が利くだろうから、組織に属さず有機農業をしている農家の掘り起こしなど、いろんな創意工夫が生まれそうです。

このようなこども園の企業努力は、「有機の給食を食べさせたい」という保護者のニーズを掘り起こし、エリア外からの通園を誘うことでしょう。もしかしたらそれをキッカケに移住する家族も出てくるかもしれません。少子化で経営面の不安を抱えている社会福祉法人も、力の入れどころちゃいますかね。

ただ、ただでさえ経営を不安視している社会福祉法人がおられるわけだから、その慣行農業食材と有機農業食材との差額に関しては、行政の方で補助してもらいたい、という話をしているだけです。

そうして民間が力を合わせた取り組みをし、行政はそういう民間の工夫を参考にして、将来的に市内学校給食全般にまで規模を拡大していけばよいのです。

市当局がたいした労力を取られるわけでもないのに、その程度の予算化ができない理由がどこにあるんでしょうかね?ワタシニハサッパリワカラナイ。



有機農業が盛んになれば、地域経済も活性化する

また市長からは、「有機農業は何しろお金が高くつく」という答弁もありました。

安全、安心、自立、持続可能、こうした側面を持つ有機農業なんだから、そりゃ手間暇かかって慣行と比べると高くつくのは当たり前です。
(今回の「慣行農業ショック」でその差は縮まると思いますし、差額の予算化であればそんなに大きな金額にもならんと思いますけどね)

ただ、私は多少高くついても予算化してしまえばいいと思いますよ。こんなのは目先の金額の多寡で判断すべき次元じゃないですから。

なんでかって?その予算が最終的に市民の豊かさや地域経済の活性化に繋がるからです。つまり、丹波市の未来への投資になるのです。


理由① 地域内で無農薬の野菜を生産し、消費することで、市民の健康状態が向上して医療費の削減が期待できるから

これは食べる人だけでなく、栽培する人に関してもです。私ね、春日町に親戚が居て、幼少の頃はその親戚から「春日茄子」をよくもらっていたんですよ。米袋に茄子がいっぱい入った状態で、一度に1袋、2袋ともらっていた記憶があります。焼いて味噌付けて食べるのが好きだったな。懐かしい。

でもその「春日茄子」って、なんでも大量の農薬を使っていて、その農薬を散布していた人たちが次々とガンになっていったという話をよく聞きました。今となってはもう昔の話ですけどね、やっぱり農薬にはそういう側面もあるということなんでしょう。


理由② こども園や学校の給食に有機食材が出されるようになると、食に関心の高いファミリーが市外から移住することが期待できるから

これは実際に肌で感じますね。「オーガニック給食の実現に向けて取り組みを求める請願」を出された「丹波やさしい給食の会」の皆さんとちょくちょく会うんですけど、その繋がりで同じ志を持たれた市外の方とも会うんです。そういうお母さん方と話をしていると、食の安全に関する意識が当然高く、学校給食に有機農産物が使われるなら移住してもいいと話される方もおられました。


理由③ 給食用の食材として有機農産物が使われると、市内の有機農家の経営強化に繋がり、これから2050年に向けて有機農地面積を増やすことが期待できるから

「農の学校」を卒業しても、皆が皆、丹波市に残って有機農業をされているわけではありません。市長も理解されているように、有機農業で農作物を育てても、自分で流通体制を構築することが難しいこともあって、丹波市を離れていってしまう卒業生もおられます。

だからこそ、行政が協力してその流通網を構築してあげたらいいじゃないですか。「農の学校」まで立ち上げているんだから、その後の販路を構築しておけばスムーズに定住に繋がるだろうに。現状では卒業してからの家賃補助があるみたいですけど、行政がすべきはそういう現金給付ではなくって、活動しやすい環境整備でしょう。そしたら家賃の補助が要らないくらい自立的に稼げるんじゃないでしょうか?

これに限らず、なんか丹波市の促進施策って、現金を給付して終わり、っていうパターンが多すぎる気がします。私なんかは貧乏性だからか、「金を使わず頭を使え」と、仕掛けづくりを考えることを楽しんできたので、今の施策には落胆することが多々あります。

この流通の不備が原因で地域経済にダメージを与えることもあります。これは海外に依存している我が国の飼料肥料事情と同じ構図なんですけど、自分の地域で生産できるのに、流通する仕組みがないからと他所から買ってきてしまう。そうすると潤うのは他所なんですよ。これでは地域経済がぜんぜん良くならない。

そうしないで済むように、丹波市内で生産、流通体制を確立することが大事だし、だからこそミニマムサイズのこども園の給食からその体制作りをしてはどうかと提案しているんですけど、市当局はこの地域経済の仕組みを理解してくれているのなかな?


それと、今もうすでに丹波市内で有機農業をしておられる農家に対して、もっと行政として応援してほしいですね。ある農家さんから、有機農業の問い合わせをしても長期間放置されているというクレームを聞きました。当局に問い合わせると、実際に放置していたようです。こんな丹波市役所の対応は、彼ら彼女らのがんばりを軽視しているようにすら見えます。

「農の学校」を立ち上げたり、問い合わせを無視したり。丹波市はどこに向かっているのかよくわかりません。




以上①②③から、多少お金が高くついたとしても、補助金の創設が必要だと私は考えます。

もうすでにやる気のある有機農業人材はいらっしゃるので、彼ら彼女らが活躍できる食の循環システムを構築しましょうよ!



市民の皆さんで力を合わせて実現させていきましょう!

冒頭に、我が家の鶏のことを書きました。我が家の鶏のエサのベースとなるのは輸入飼料ではなく、自家製の発酵飼料で、原材料は、米糠、蕎麦殻、魚粉など、ほとんどが無料でもらえる廃棄物です。

私には実父と同じ年代の養鶏仲間がいるんですが、先日その彼と一緒に鶏のエサを仕込んでいた時に、

「これだけ捨てられるものでエサが作れるのに、丹波市は資源を分別せず、捨てて燃やして、実にもったいない」

と愚痴をこぼしておられました。実際にね、捨てられていくものが再利用できる現場に関わると、ごみがごみに見えなくなってくるんですよ。体感覚として。そういう体験をせずに頭の中で理解しているだけだと、実を伴わない机上の空論になってしまうんでしょうね、というお話もしました。

そんな彼が、この度の私の一般質問を傍聴しに議場へ来られました。議会の傍聴は初めてとのことだったんですが、養鶏という市民レベルの活動が、丹波市政の行く末を疑問視するキッカケになったようです。

一般質問の内容に共感された彼は、傍聴終了後に同じく養鶏仲間にその内容を電話でお話しされていました。エサ作りの時に会話をしたことを起点に、主体的、能動的に政治参画してもらい、その輪が広がっていくようで、その民主的なムードを私は嬉しく思いました。

そう、この国は民主主義なんですよね。一人ひとりの市民が持たれている「この丹波市をなんとか良くしたい」という思いを行動に移せたならば、政治は動くはずです。

件の養鶏仲間以外にも、「キエーロ」を生産したり情報発信したりしている方々、オーガニック給食の実現に向けて活動している「丹波やさしい給食の会」のお母さん方、真っ黒に日焼けしながら有機農業を頑張っておられる農家の皆さん、私が関わっている感覚では、みんな方向性は同じだと感じています。

これからも一人でも多くの市民の方に関心を寄せてもらって、この国難を逆手に取り、

・燃やすごみの減量化
・有機栽培の拡大
・有機農産物を使った給食の推進

を実現してきたいと考えておりますんで、共感していただける方は私までご連絡ください。一緒に取り組んでいきましょう!


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