前川進介の政治日記

議会報告 2022.5.3

3月議会での前川の質疑、意見まとめ(後編)

3. 新山南運動公園(仮)テニスコートは、将来的に増設できる設計を!



山南地域にある2つの中学校が合併することで、和田中学校と薬草薬樹公園とを一体的に活用した新山南運動公園(仮称)が誕生します。その新公園は旧山南中央公園の機能移転を基本として設計されており、テニスコートは旧公園にあった数と同じ2面が設置される予定です。

旧公園に2面あったから新公園にも2面作っときますね、っていうこの「機能移転」って、なんか杓子定規でクリエイティビティのカケラも感じません(笑)これ、本当にその考え方で進めたらもったいない話になると思いますよ。


と言うのも、私はテニスをよくするんですが、この新公園は完成すると温浴施設と子どもたちが遊べる施設、それにBBQ施設なども併設されている希少性の高いテニスコートになって、市内外からの集客力がめちゃんこ高くなると考えているからです。

地元和田地区からの要望の声もあったので、以下の要旨で質疑しました。


Q:子どもたちが遊べる屋内外施設と温浴施設が併設されているテニスコートは、県内で見ても希少であり、市内外からの集客力を持つことが考えられる。当面は機能移転の観点から2面の建設で進めるとしても、将来的にテニスコートを4面5面と拡張できるデザインにして設計を進めるべきだと考えるべきでは?


A:当施設は運動、健康、休養、体験、さらに子育て支援の機能を含めた複合の運動公園となり、市内外からこれまで以上の利用者増が期待できます。新たな利便性による需要の高まりに加え、地元からも4面設置の要望を受けていますが、市内需要や再編状況を踏まえ、検討すべきと考えています。





大きな温浴施設が併設されている兵庫県内のテニスコートって、パッと思いつくだけでは神戸市にある「幸せの村テニスコート」くらいです。(他にどこかありますっけ?)

多くの人がテニスをした後のひとっ風呂浴びて帰りたいわけですから、この地の利を活かすためにはコートの数を増やすべきやと私は考えています。そうして新公園でテニスをする人が増えれば、薬草薬樹公園の温浴施設や飲食店を利用する人も当然増えます。この施設は市が指定管理料を支払って運営を委託しているわけですから、売上・利益が上がれば市が払っている指定管理料を下げることも不可能ではありません。

さらにある程度の面数が確保できたなら、近隣市町からの合宿利用も期待できます。合宿となると公園の近くの飲食店、宿泊施設も利用されるでしょうから、それによる経済効果までも期待できます。

つまり、この新公園のテニスコートを増やすことは単なる市民ニーズを満たすに留まらず、設計次第では外貨を稼ぐ起点となりうるのです。

しかし、市当局は「機能移転」という建前で2面の建設で進めようとしています。コートの利用状況などを市当局は把握しているはずなんですが、移転前の公園では、地元のテニスサークルが毎週土曜の午後から2面を使って活動しておられ、移転後の公園でも同様の活動を続ける旨の話を聞いています。だから新公園にテニスコートを2面しか作られなかったら、土日の合宿利用なんてできるはずがありません。せっかく外貨を獲得するチャンスなのに、「機能移転」というつまんないロジックでまとめ込んでしまうのは実にモッタイナイと思うわけです。もっとビジネス感覚・マーケティング感覚を研ぎ澄ませて市民のために考えようよ!



そんなわけで、私は新公園が造られることが決まった時から「このコートの数をどないにか増やせへんもんかなぁ」と思案しておったわけですが、ここに来て追い風が吹いてきたかも?

実は令和4年度から、青垣地域に続いて山南地域までもが「過疎地域」に指定されました。この指定を受けると、当該地域内における事業には、国が経費の7割を補填してあげるから過疎対策の起爆剤となる事業を展開しなはれという「過疎対策事業債」が使えるようになります。

過疎指定された地域にすでにある温浴施設とのコンボで、集客力のあるテニスコートを増設して過疎対策!いいじゃないですか〜♨️

このあたりの「過疎債」絡みの話は、地元市民とも十分に協議した上で、6月の一般質問で取り上げようと考えています。このままじゃ、あまりにももったいなさすぎるもん!




4. 将来的にインフレになること、想定してはりますか? 〜丹波市の財政収支見通し〜


3月定例会中に「令和3年度 財政収支見通し」の説明が財務部長よりありました。これは毎年度3月議会で発表されているんだと思いますが、ざっくり言うと

・兵庫県からの指示で県下41市町が毎年度作成する、この先10年分の財政状況の見通しを示す文書
・かなり厳しい基準で作られているから、だいたい5〜7年先くらいに歳出が歳入を超過する赤字状態に陥る見通しが毎年度示される
・例えば今から6,7年前に示された財政収支見通しでは、令和3年度で赤字に転じますよ、という見通しになっていたはず。(でも実際は黒字)
・そんな調子だから県下でも北側の市町はすべて近い将来に赤字に転ずる見通しになっている(はず)

というわけで、この文書には悲観的な見通しが示されていますが、実際のところは、丹波市は財政的にはけっこう健全そうです。


さてこの財政収支見通しに対して、私が質疑したのは「インフレ」についてでした。

Q:この財政収支見通しは、あくまでも今の貨幣価値が維持されていることが前提になっているが、仮に、インフレが起きた時にどう対処することになるのか?


A:・・、インフレについては考えたことがありませんでしたが、今回のコロナ禍で国は迅速に対応してくれたように、インフレに対しても国が対応してくれると、その年度を乗り切ることができると思います。




私は零細企業を経営しているからか、それなりに経営に関しての危機意識を持っています。コロナ禍で流通がマヒして半導体や木材の品不足が起こりました。ロシアのウクライナ侵攻では燃料・食料・飼料がさらに高騰することが懸念されています。

日本はこの30年ほどデフレ基調できているから、インフレに転ずることがイメージしにくいかもしれませんが、私の感覚ではもうすでに「インフレ」に振れてきています。
(厳密に言うと、インフレと景気後退がセットになった「スタグフレーション」かもしれません)


だから私の個人事業や経営している会社においてはその気配を警戒して、2,3年ほど前から現金資産をできるだけ物に変えるよう、ここ数年、様々な設備投資をしてきました。

ただ、自宅裏に屋根を取り付けた工事は今年になってからの実施だったので、インフレ対策に間に合わず、当初の見積もりの倍ほどかかっちゃいました。所謂「ウッドショック」ってやつですね。

この今般のウッドショックは、材木におけるインフレです。丹波市においても令和3年度に500万円で予算化していた桜堤公園の改修工事を、ウッドショックが原因で木材が高騰しているという理由で取りやめました。そして令和4年度に改めて予算化したその額は倍増の1000万円です。

「タラレバ」の話にはなってしまいますが、例えばこの桜堤公園の改修工事を令和2年度に実施しておけば、ウッドショックに遭わずに500万円(予算ベース)で工事を完了できていたわけですよね。

つまり、インフレに備えて今のうちに戦略的に現金資産を物に変えておく戦略を取ることは、市民福祉の向上に繋がる可能性が多分にあるわけです。


財務部長は、インフレが起きた時の対処療法的な対応についてイメージをされたようですが、それに加えて、インフレに対する感度を高めて、インフレに備えた戦略的な予算提案もアリなんじゃないかと個人的には考えます。

一零細企業のお財布事情と、人口6万5千人を抱える市のそれを並列に考えるなと言われそうではありますが、そこには共通する部分もあるはずですから。

というわけで北野部長、インフレ対策もよろしくです!




5. 時間や税金の無駄遣いになるような質疑は慎むべきだ!


最後は市当局に対してではなく、市議会に対しての苦言です。

私は市議会議員になって1年ちょっと経ちますが、議会の会議中にけっこうイライラしています。と言うのも、議員からの質疑にしても市当局からの答弁にしても、ダラダラと長い割に内容のないものが多いからです。

この3月定例会においては、特に議員からの質疑の内容を改めるべきだと、予算決算常任委員会で1回、議員総会で1回の合計2回、全議員に向けて苦言を呈しました。


前述の通り、この3月議会は来年度予算の審議があります。その過程において、まず議会側だけで予算案の内容について課題を整理し、その後当局を呼んで改めて質疑をする流れがあるんですが、課題整理の段階で論点を整理しないまま話を進めようとしていたんですよ。議会側で論点整理できていない状態で市当局を呼びつけても、議員がまたグダグダと的を射ない質疑をして、「この人は何を聞きたいんやろ?」と怪訝な顔をしながら部長たちが答弁する姿が目に浮かびます。

そこで委員長に対して、まずはこの議員20人で話し合う段階で論点整理をして、その後に市当局を呼ぶべきだと、会議の進め方に異議を申し立てました。

だってね、市当局を呼ぶと、市長以下、副市長、部長、課長、係長までが議場に駆けつけ、議員からの質疑に答えられる体制を取るんです。つまり、丹波市役所の給料が高い人たちを集めて会議をするわけですよ。そこにどれだけの人件費、つまり税金を突っ込んでいると思います?

だから私からすると、そんな会議はできるだけ短い時間で質の高い議論をする方がいいに決まっているし、それが実現できるように全議員が努力すべきだと考えています。

しかしながら私の意見に対して、「そんなもんええわい」というベテラン議員からの声が聞こえてきました。税金の無駄遣いをチェックする立場の人間が税金を無駄に遣うなんて、ギャグですか、丹波市議会は。

こんな時間と税金の無駄遣いになるような議論はすべきでないし、もしそんな質疑があったらその場を仕切る議長なり委員長なりが即刻止めるべきだと思いますね。じゃないとこの税金の無駄遣いを市民にどうやって説明します?


他にも、

・窓口で聞いたら済む話をわざわざ高い人件費を払わせて問う質疑
・言葉を変えて同じ内容を聞いて、「繰り返しになりますが」という不毛な答弁を生む質疑
・先に意図を伝えず市当局が答えに窮する質疑
・議案審査とは直接関係のない議員自身の持論を展開する質疑

このような質疑が丹波市議会にはいっぱいあるんです。あー、なんという時間の無駄遣い!税金の無駄遣い!



そんな質疑を聞かされる度に

「早くお家に帰って鶏小屋を造りたい。畑仕事をしたい。」
「ボクはこんなつまんない議論を聞くために生まれてきたんじゃないんだ。」

って正直思っています。



もちろん、中には鋭い質疑もあるんですよ。同じ会派の奥村議員とか、他所の会派ですけど小橋議員とか、

「なるほどー!そういう切り口で考えると確かにこの議案は問題だな!」

と唸らせてくださることもあって、とてもワクワクします。

また山名議員も論点整理が上手で、全体が迷子になりそうな時の道標を示してくださいます。渡辺議員は必要最小限しか発言されない中で、場を和ませたり逆にピシャリと締めたりする内容で、議会の雰囲気を上手にコントロールされていらっしゃいます。

市民生活が少しでも向上するように、そういう有意義な議論で盛り上がりたいのだけど、無理なんでしょうかね・・



ちなみに、なんですけどね、毎定例会後には、特に筋の通った論点で質疑された内容を広報広聴委員会が選別し、議会広報誌『たんばりんぐ』内の「ココがギロンの論点!」というコーナーに掲載しています。

この3月議会では会期中の全質疑の中から10項目24質疑が選抜されたわけですが、掲載された24質疑中6質疑が私の質疑です。約分したら広報誌に掲載されている全体の1/4が私の質疑となります。

でも議会での私の発言量はそんなにないですよ。会議なんてさっさと終わらせて家に帰りたいので、必要最小限でしか発言しません。

そういう最小限の時間で最大限の効果を生み出すような質疑を皆で心がけたなら、丹波市政の生産性はもっと高まると思うし、それこそが市民にとって益のある議会の有り様なんじゃないでしょうか。議会は「言論の府」と言われるほどですからね。



そんな考えがある私ですが、口で言うだけでは政治家として無責任だと思うので、その在り方を実現させるために、

・全会派に声をかけて、毎定例会後に議論の質を上げられるような反省会を議員有志で企画、実施する
・議員の質疑の質を高められるように、市長にもっと反論権、反問権を行使するよう要請する
・議会広報誌には発言した議員名を掲載するなど、質の高い質疑への動機付けができる広報誌となるよう、編集会議で提案する

などの議会改革を進めていこうと考えています。


こんな感じで私は私で自分なりに議会改革を進めていきますので、二年半後にある次の選挙では、ぜひ議論の質が爆上がりするような人たちに立候補していただきたいと心から願って、このモヤモヤする話題を閉じたいと思います。

市民の皆さん、どんどん選挙に出てくださいね!

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