前川進介の政治日記

議会報告 2021.5.27

ルールは皆で作って運用し、時代や環境の変化に応じて修正するものであり、永遠に従い続けるものではない。

 こんにちは。

 令和3年度に入りました。ってもう5月も下旬ですが、年度が変わると人事や事業や条例にいろんな変化が起こります。そんな中で今回取り上げたい変化は、「指定管理者制度運用ガイドラインの改訂」についてです。今年度から指定管理者制度を運用するためのガイドラインが変わったんですね。


 ただ「変わった」というと言葉足らずで、もう少し付け加えると「12月の議会で私たちがかなり突っ込んだ議論をし、当局に変えるよう見直しを求めた結果、変わった」という話です。


 そう、変わるんですよ。我々市民の代表である議会は行政をチェックする立場でもあるので、議会としてNOを突きつけたならその仕組み上、行政は変えざるを得ません。(だからと言って正論でない感情論でNOを突きつけるなんていうのはよろしくないと思いますよ)


 私は丹波市役所の仕事はまだまだ市民目線が欠けていると捉えていて、そういった欠けている視点を補うのが市民の代表である議員の役割の一つだと考えています。市民目線、民間目線の行政改革は先の選挙戦でも訴えてきたことですので、今後もこのスタンスを継続していきます。市民の皆さんにおかれましても、丹波市役所の行政サービスに欠けている要素を感じられたら、ぜひ私までご連絡ください。


 そうやっておかしなことに「おかしい!」と声を上げ、一緒に住み良い丹波市にしていく機運が高まればいいなと思って、このブログを書いています。



1.「指定管理者制度」とは

 さてそんなわけで今回は「指定管理者制度運用ガイドラインの改訂」についてお伝えするわけですが、まずはそもそものこの「指定管理者制度」について触れておきます。


 「指定管理者制度」というのは、ざっくり言うと公の施設を法人や地元自治会などの民間組織に管理してもらう制度のことです。2003年までは日本全国の公の施設管理については基本的に行政が行い、民間参入を制限してきたのですが、それでは経営効率が悪くなりすぎて自治体の財政難を引き起こす懸念がありました。そこで2003年に「民にできることは民で」と民間活力を活かす法改正がなされ、「指定管理者制度」が誕生したのです。


 まぁ平たく言うと、行政はビジネス感覚があんまりないんだから、財政的な面を考えても施設の管理運営は民間の力を借りようよ、という話です。餅は餅屋ってことですね。


 実際に丹波市においても、この指定管理者制度を活用して50ほどの公共施設の管理運営を民間団体に委託しています。


 メジャーどころで言うと「丹波市立道の駅丹波おばあちゃんの里」の施設を地元の農家などとのパイプの強い「丹波ふるさと振興株式会社」が管理していたり、「丹波市立薬草薬樹公園」の施設管理を温浴施設の管理に長けている「株式会社ウエルネスサプライ」が委託されていたりするなど、基本的に民間団体の強みが活かされる組み合わせになっています。



2.そもそも不適切な「ガイドライン」に従った故の不適切な仕事

 ただ、丹波市のこの制度の運用には問題点が多々あったんですね。それに関して12月議会でかなり突っ込んだ質疑を行いました。

 具体的に言うと、「丹波市立丹波悠遊の森」施設の指定管理を「株式会社丹波悠遊の森協会」に選定する件について、その選定までのスケジュールなどが不適切でいくつもの弊害が起きていました。


 ざっくり言うと、弊害は以下の4点です。

  1. 行うべき業務の順番(スケジュール)が不適切なために公平性を欠く業者選定になっていたこと
  2. スケジュールが不適切なために令和3年4月以降の予約が取れない状況が3ヶ月間続いており、顧客離れ(売り上げの減少)が懸念されたこと
  3. 利用料金の条例改正が遅すぎて、消費増税分が実質値下げとなり、本来利用者が負担すべき金額を丹波市が税金で補っていたこと
  4. 本来払わずに済んだであろう指定管理料を丹波市が負担し続け、株式会社丹波悠遊の森協会の自立を妨げていたこと

 その詳細に関して、またその問題の本質的な要因に関しては、令和3年1月6日に私のFacebookに投稿した内容をコピペしたこの記事をご参照ください。(コピペにあたり文法の間違いなど数点修正しました。読了に30分ほどかかる文字量です。)



 これだけ弊害が生じている指定管理者制度に対する質疑に、丹波市当局は「ガイドラインに従って運用している」との答弁だったんですが、私からすると「そもそもそのガイドラインがおかしいのに、なんでそのおかしなものに従って運用してるの?!」という感覚です。


 実際、今回の議会で当局に見直しを求めた結果、従前のスケジュールから1年も前倒しにして取り掛かるべきスケジュールだったと当局は判断し、それを踏まえてこの度ガイドラインが改正されました。1年も前倒しですよ?これまでどれだけタイトなスケジュールで民間団体にそのしわ寄せを押し付けてきたのか、また結果的に無駄な税金を垂れ流したのか、その市民目線、民間目線の欠如は自覚していただきたいところです。

ガイドライン改定趣旨



3.「ルール」に対して「これはおかしいくないか!?」と声を上げることが住みやすさに直結します

 そしてこのブログで市民の皆さんにお伝えしたいことは、そうした事実がありましたよ、というご報告だけではありません。それよりもむしろ、今後の住み良い丹波市を創るために


【ルールは皆で作って運用し、時代や環境の変化に応じて修正するものであり、永遠に従い続けるものではない】

という、「ルール」に対しての考え方を共有したいのです。



 これは丹波市に限った話ではありませんが、「ルール」という言葉を聞くと多くの人が「守るべきもの」「従うもの」というイメージを持たれがちです。

 しかしそもそも民主国家における「ルール」というのは、

  1. みんな(に選ばれた政治家)でルールを作る
  2. 作ったルールで運用してみる
  3. 状況に応じてそのルールを変更する
  4. 変更されたルールで運用してみる
  5. また状況に応じてそのルールを変更する
    (以下4,5の繰り返し)


という全体の流れがあって、「守る」「従う」というのは、


  1. みんな(に選ばれた政治家)でルールを作る
  2. 作ったルールで運用してみる(←ここで守ってみる)
  3. 状況に応じてそのルールを変更する
  4. 変更されたルールで運用してみる(←ここでも守ってみる)
  5. また状況に応じてそのルールを変更する

 この2と4で行う部分的な行為でしかありません。守ること、従うことが全てではなく、全体の幸福度を上げるためには時として疑ってかかることだって大切なのです。



 特に市の条例や要綱などに関しては、私はかなり疑ってかかっています。

 以前、これはまだ私が市議会議員になる前の話ですが、丹波市のとある補助金を申請しようと要綱を確認すると、どうもその文章が曖昧でわかりづらい。そこで、この文章の意味するところは何なのか明確に示してほしいと電話で問うと、


「実はこの要綱は●●市の要綱をコピペしたものでよくわからないです・・」


という返答をいただきました。


 もちろん要綱や条例の全てがそんなものだとは思っていませんが、少なくともそれくらいの精査しかされていない「ルール」が丹波市役所内に存在していることは事実です。


 もし、市民の方で丹波市の「ルール」に不満を感じ、「本当にこんなルールで適正な運営がなされとるんかいな?」と疑問に思われたら、それは改善のチャンスです。「これはおかしくないか!?」と声を上げる行為が、次の利用者の使いやすさ・住みやすさに直結します。


 仮に「これはルールで皆さんにもそうしてもらっていますから」と職員に言われたとしても、そんな同調圧力に屈する必要はありません(笑)職員に直接言いにくければ、私にご連絡ください。


080-3087-4720
maegawa.shinsuke.3@gmail.com


 私は市議会議員なので、国の法律や県条例などに関してはどうこうする立場にありませんが、丹波市が定めた条例などのルールに対してはその内容の是非を問う立場にあります。「なんかおかしいぞ?」と疑問を抱かれましたら、住み良い丹波市のためにもぜひこの公僕を使ってくださいませ。


 また丹波市職員においては、市役所内の「ルール」を鵜呑みにせずに、


「なんでこんなルールになったん?」
「ほんまにこのルールで大丈夫なん?」


と過去を批判的に捉える態度が大切だと思います。


 もちろん「ルール」に限らず、市民向けのパンフレットやガイドブックなどこれまで使ってきた実績のあるものでも、前例踏襲せずに自分の頭でその内容の是非を考える習慣がとても大切だと思います。それが市民サービスの向上に繋がるでしょうから。


 6月の一般質問ではそんな話もするつもりです。




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