前川進介の政治日記

議会報告 2023.5.14

政治家は「使い捨て」くらいがちょうどいい

議会を巻き込みながら障害福祉行政の調査をしています

昨年の夏から、障害福祉行政の改善を求めて政治活動をしています。私は机上の空論はしたくないので、実際に障害者やその家族、それに支援を行う事業所の方々の話を聞いて回っています。もう優に100人以上の関係者の話を聞いたかな。そうすると、丹波市では行政が十分に機能しないがために暮らしに困りごとを抱えていらっしゃる障害者やその家族が、けっこうな数おられることがわかりました。

そしてその要因も多様で、

・職員たちが国の制度を長年勘違いし続けて障害児への福祉サービスを受けられないようにしていた
・福祉と学校が連携するように国が方針を出し県がガイドラインまで作っているのに、それを無視して療育の情報を該当する市民に届けていなかった
・相談支援事業所の仕事っぷりを行政が性善説でチェックしていなかったがために、障害者が最適なサービスを受けられず350万円超の過誤請求が発生していた

などなど、言い出すとキリがありません。


これらの要因の共通点は「職員が障害者にもある人権を尊重できていない」という一点に集約されると私は考えていて、昨年から行政に指摘し続けています。丹波市が始まって来年で20年になりますが、これまで議会からもそんな指摘はなかったようで、丹波市障害福祉行政にはいろんな弊害が蓄積しているよう。そうなるともう、なんか、文化というか・・・。

だから多くの障害者やその家族が「丹波市だから諦めている」という諦めムードなんですよ。丹波市で暮らし続けなければならないことに対する悲壮感すら感じることもありました。

だから私は丹波市で暮らす障害者やその家族の暮らしを少しでも良くしたいと思って、今の政治活動をしています。


ただ、私一人が活動しても効力は弱いし、議会としての持続性がないので、昨年の12月からは議会委員会を巻き込んで動いています。

去る5月11日は障害福祉を所管する民生産建常任委員を対象に、障害福祉行政の歴史や丹波市が抱える問題についての勉強会を開かせていただきました。私以外の委員も課題を理解してもらえたら、私が議会構成員から抜けたとしても、その中の誰かが引き続きその課題をクリアしようと働きかけてくれるかもしれませんので、議会組織として継続性が向上します。

民生産建常任委員会の委員との勉強会資料



また同日には、市内の相談支援事業所の方々(介護保険で言うところのケアマネさんのポジション)と民生産建常任委員会の委員とで、意見交換する場も持ちました。やっぱり他の委員にも現場の声を聞いてほしいから。

こうして、一議員としてではなく議会組織として行政に働きかける体制を作っているところです。


また、議会は執行権がないため行政に指摘や提案をするくらいしかできず、基本的に行政の市民サービスに直接的に関わることはできません。だからどうしても立場的に批判が多くなるんですが、批判ばかりしているのは性に合わんので、行政の不足を補うべく、障害福祉に関する勉強会や情報交換ができるチームを作って活動しようかと、民間の事業所の方々と話しているところです。



活動を抑制すべき?

しかし、特に最近になって、私のこれらの活動をトーンダウンすべきでは?と声をかけられることが増えてきました。話を伺うと、「善かれと思って」とのことで、決して私に悪気があるわけではなく、ちょっと悪目立ちしてしまう可能性を指摘されているように受け取れました。

そうですね、私としても「善かれと思って」改善を要求しているわけですが、改善を促される側としては面白くないだろうし、敵意すら抱かれるかもしれません。実際にこの政治活動を始めてから、ある医師から筋違いな圧力をかけられたこともありましたし、また別の人からは障害福祉にはそれ以上踏み込まん方がええんちゃうかとやんわりと釘を刺されたこともありました。

こういう外部からの圧力を受けると、一瞬はひるむんですよね。「あぁ、医師会を敵に回すことになるんかな?」とか、「政治的にこれ以上は踏み込んだらえらいことになるんかな?」ってね。

だから悪目立ちしないように、言い方なんかは配慮した方がええなぁ、とは思うんです。だけど、こういう圧を受けてから時間が経ってくると、だんだん腹が立ってくるんですよね(笑)行政に問題があって市民が困っているから活動してんのに、なんでそんなこと言われなあかんねん!って。

もちろん配慮はするようにしますが、長い物には巻かれません。ここで迎合しちゃうとせっかくの機会に膿を出しきれないし、そもそも私の性格上、迎合なんかしたら吐き気しそう(笑)



政治家は「使い捨て」くらいがちょうどいい

今から3年ちょっと前かな、今の後援会長に推されて、市議会議員選挙に出ないかと打診を受けた際、彼に一つだけ確認したことがありました。

「市議会議員になったら、議案の賛否なんかは党や後援会の指示に従うことになるんですか?」

と。私は自分の思いと行動を一致させる生き方で人生を楽しんでいるのに、政治家になった途端に何かに迎合するような生き方を迫られても困るから。

すると会長は、「そんなもんはお前が決めたらええんや」と、私の自己決定を尊重してくださったので、私は安心して出馬することにしたんです。

だからそれ以来、政治家になっても全て自分の意思に基づいて活動しています。(あ、もちろん異なる考えを持つ人の話は聞くし、参考にはさせていただきますよ。だけど最終的な意思決定は、全て自分で行なっています。)

そもそも、「子どもの自己決定権が大切だ」と訴えて子どもの権利に関する特別委員会まで立ち上げた自分が自己決定できていなかったら、どの口が言うとんねん!っていう話ですからね(笑)



さて、話を元に戻しますと、そりゃできるだけ波風を立てない方が敵を作らなくて済むし、誤解されることもなく無難だと思いますが、そんな八方美人な政治をやっていたらいつまで経っても変われないですよね。市民はより良い暮らしを求めているのに、悪目立ちを恐れてメスを入れなかったら、そこから膿を出し切ることはできません。「嫌われてもやる時はやるんだ!」っていう思いがないと、せっかく課題が見えているのに解決までは至れない。

仮に、何かアクションを起こして敵を作り、嫌われ、その結果次の選挙で落とされたとしても、それはそれでいいんじゃないですかね。長い物に巻かれながら無難にこなして政治家で居続けるよりも、短くても太い政治人生の方が清々しいし性に合っています。

確か大阪維新の会でも言われていたけど、政治家なんて「使い捨て」でいいと思いますわ。この20年近くメスの入らなかった障害福祉行政が、私が取り組んだことで少しでも改善できたら、後は使い捨てられてOKですよ。そしてまた次に選ばれた政治家たちが、それに続いて市民の暮らしを良くする何かしらの改革をやってくれたら。

障害福祉に限らず、既得権なんかの柵(しがらみ)を無くして市民サービスを向上させていこうと思ったら、そうして使い捨てられた何人もの政治家たちが足跡を残していくようなスタンスでちょうどいいんじゃないですかね。

私がどんな政治活動をするのかは私が決めること。誰に投票するかは有権者が決めること。そう割り切って考えないと、市政改革なんてできやしないと思います。
#課題の分離
#アドラー選挙
#嫌われる勇気

選挙にピッタリ!『嫌われる勇気』


職員のためにも、膿は出し切った方がいいと思う

そしてこれ、職員にも伝えているんですけどね、市民サービスの質が上がらず市民のストレスが残ったままだと、結局そのストレスは職員にぶつかってくるんですよ。そんなストレスフルな環境で働くことは職員にとっても得策とは思えないです。

また膿を出し切らないと、その膿を隠すことも職員のタスクになって、心労含め、将来に渡って余計な労力がかかり続けます。当然その労力にも税金が使われるわけですが、果たして市民はそんな税金の使い方を求めているんでしょうか?

私は使い捨ての立場だけど、この事業は職員の誰かがずっと関わり続けるんで、今回の機会に「えいやー!」って膿を出し切ってもらえたら、障害福祉に関わる全ての人が幸福になっていくと思っています。



終わりに

こんなことを言うと「お前は議員の仕事を舐めとったんか!」と叱られるかもしれませんが、昨夏から障害福祉行政に関わってきて、市議会議員ってこんなにもたいへんな仕事やったんやと感じています。歴史や制度を勉強せんとあかんわ、偉い人から圧力をかけられるわ、それでも市民の苦情が届くから活動を進めていくけど執行権がないから思うように改革が進まんわで、本当に大変。

それでも、これはどの業界にも言えることやと思いますが、志を同じにして活動する仲間ができたことは、我が人生の最高の宝物の一つです。

最近も、「小学校低学年の息子が『グレー』と判定されたんだけど、どうしたらいいんでしょうか?」という友人からの相談があって、「俺に任せとけ」と。障害福祉制度も丹波市の弱点も信頼できる社会資源(支援事業所等)も網羅的に頭の中に入っているから、その全てを説明して、友人には息子さんにとって最善と思える手段を選んでもらいました。

最近ではその子が「○○(児童発達支援事業所)に行き始めて人生が少し楽しくなったわ〜」と、一丁前のことを言うようになったと家族も喜んでいるようです。丹波市障害福祉行政を調べてきたおかげでたくさんの仲間ができ、それによって自分の身近な友人やその家族の豊かさにも貢献できたかと思うと、それだけでもよかったな〜、って思いますね。

しかしまだまだ伸び代がいっぱいの障害福祉行政なので、これからも自分のやり方で改善を促していこうと思います。悪目立ちには気をつけながらね。

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