前川進介の政治日記
「市長!オレの1票を返せ!」 〜オーガニックビレッジ宣言を出した丹波市職員が、畑にラウンドアップを撒いてモメた話〜
オーガニックビレッジ宣言を出した丹波市の中でも、特に有機農業を推進している市島地域の梶原地区において、行政職員がラウンドアップを畑の中に撒いてしまったという、とてもショッキングな事件が起き、それに対してとても残念な市長答弁がありました。
1. 畑にラウンドアップが撒かれるまでの経緯
丹波市の地域おこし協力隊Bがマルチを残したまま蒸発して、利用権設定者の農家Aさんが全責任を押し付けられていた
この畑の所有者はもう丹波市から出ていっておられて日々の管理ができないから、顔馴染みでもある地元の農家Aさんに利用権が設定されていました。そして2017年のある日、丹波市の地域おこし協力隊Bが、この畑を研修で使わせて欲しいと農家Aさんの元へやって来ました。所有者からすると何処の馬の骨かわからん職員Bに権利を移譲させるのには抵抗があるということで、農家Aさんの利用権設定のまま、職員Bがその農地を使うことになりました。
ところがこの職員B、畑にマルチを貼ったまま2019年に突然蒸発しちゃったんです。畑の所有者からすると「そらみたことか」という結果と言えるわけですが、農家Aさんからするとえらい迷惑な話です。
そして2021年になって、そんな農家Aさんの元へ今度は地元で有機農業を営んでいる農家Cさんが訪れ、この畑で豆の有機栽培をしたいと希望を伝えられました。
でも、そこはマルチが貼りっぱなしです。そのマルチも経年劣化でチリジリになっちゃっているから、草も生え放題の有様でした。
そこで農家Aさんと農家Cさんが行政に足を運び、行政職員がマルチを貼ったままトンじゃったわけだから、これは行政がマルチを剥がすべきじゃないかと申し出されたわけなんですが、職員は農家Aさんに向けて指を指しながら「利用権があるのに又貸しする農家Aさんの責任です!マルチを剥がす費用も全て持ってください!」と威圧的に詰め寄ったんですって。それでもう農家Aさんは萎縮してしまったわけですよ、かわいそうに。
利用権の又貸とマルチの放置は別の問題では?
そこで私に声がかかりました。こんな案件があるんやけどどう思う?と。
まず担当職員と話をしました。2022年の夏くらいやったかな?私からは、利用権設置の問題とマルチを残していった問題は分けて考えるべきではないか、という話をしました。確かに利用権設定の変更をかけずに又貸したのはルール的に問題があるのかもしれないけど、マルチを残していったのはまた別の問題で、それは職員Bがやってしまったことなんだから、職員Bの管理監督責任のある行政の責任において剥がすべきではないか、と。
そもそも、所有者からすると何処の馬の骨かわからん職員Bに権利を移譲させるのには抵抗があるということで、農家Aさんの利用権設定のまま、職員Bがその農地を使うことになったという経緯があるわけですから、このルール自体が現状にマッチしていないように見受けられます。それをルール違反だ!なんて厳格に責任を押し付けたら、市内の耕作放棄地はもっと増えることになりますけど、丹波市はそれでもいいんでしょうか?となると、そのルールの不備を放置してきた行政にも問題があると思いますね。
いずれにしても、利用権設定の又貸とマルチの放置は、それぞれ責任の所在を分けて考えるべきじゃないかという私の考えを聞いた職員は、その時は納得していたように見受けられました。
しかし、そこから何のアクションもないまま、今年の3月議会を迎えたんです。
ボトムアップで事が動かないならトップダウンでやってくれと要請
この件に関しては、行政の対応に問題を感じていた農家Cさんから市長にダイレクトメッセージも送っておられて、その際市長は、
「職員に一方的に○○しなさいは言わないようにしています。それをやると、職員は考えることをやめて、指示を待つようになります。その辺りの塩梅が難しいところです。」
と返信されております(原文ママ)
そんな話も聞いていたもんだから、日頃から市長のボトムアップのマネジメントが機能していないと感じていた私は、その指摘をしておこうと思って今年の3月議会で、実際にこんな機能不全に陥っている事例がある、という具体例で、今回のマルチ残しっぱなしの畑の件を伝えたわけですよ。
そしたら市長は、
「そのことについては、ちゃんとそのマルチの話、できているのかどうかを聞きましたけども、それは解決しておりますと聞いたので、そんなもん黙ってほかしておけとは言うてへんので、片づけなさいと言うとるので、もし片づけてないとすれば、今からもう一度私も現場に行ってちょっとよう見て、あのちゃんと、トップダウンでやります(笑)」
と、最後は笑って答弁してはりました。長年責任を押し付けられていた農家Aさんの気持ちを考えると、笑える点はどこにもないと思うんですけどね。
動画で確認されたい方は、「3月14日 前川進介議員 一般質問」をクリックして43:00くらいからご覧ください。
それにしても、市長と職員の間でもなんか意見がチグハグですよね。職員は農家Aさんの責任で剥がせ、と言っているだけで未解決の問題なのに、片づけなさいと命じていてもう解決していると聞いていたという市長答弁。なんじゃこりゃ?
萎縮したAさんは圧に屈し、畑にラウンドアップが散布されることに
ちょっと意味不明な答弁ではありましたが、とは言え、市長がトップダウンでやるっていうので期待していたら、5月2日に職員がこの畑に、こともあろうかラウンドアップを撒いちゃったんですよ。マルチを剥がすためにまずは草を枯らしましょう〜、って。
それは地域おこし協力隊Bの研修先、利用権設定者である農家Aさん、それに行政の三者で話し合って決めたとのことですが、先にも書いたけど、農家Aさんは行政に対して萎縮しちゃってるんですよ。休みの日にまで自宅に来られて理詰めで押されると、慣れていない市民は反論しにくいとも言われていました。
それと、このマルチをどう対処するのかという話し合いの場から、「関係者ではない」という理由で次期耕作希望者である農家Cさんを排除したまま、意思決定がなされたんです。農家Cさんが話し合いの場に入れてくれ、とリクエストしているにも関わらず、排除。農家Cさんは有機農家だから、ラウンドアップを撒かれちゃもう豆を植えられませんわな。農家Cさんへの営業妨害も疑われます。
農家Cさんはおかしいことに対しておかしい!と言う人です。だからか、これまでいろんな場面で排除されてきました。それは行政からもそうで、農家Cさんが行政の窓口に行ってこの畑のことの話をしようとすると、「答えません。あなたには一切答えません。」なんていう対応を取られるとのこと。そんな行政対応って、あり?
そんな様子を農家Aさんも知っているから、「おかしい」と思っても行政に反論できるはずがないですよね、次の「排除」のターゲットが自分になると思ったら、怖くてできるはずがない。
農家Aさんに直接話を聞いたら、「本音では撒きたくない」って職員に言うてたらしいですよ。でもそれ以上の反論はできなかった、と。優しい人やからなぁ。農家Aさんは、納得のいかない、無念そうな表情でした。
地元の梶原地区では市民感情が爆発し、人間関係までもが崩壊
当該農地は「梶原オーガニックパラダイス」が主体となって有機農業を推進している市島地域梶原自治会内にあります。そして、認定こども園へ有機米を提供する農家を増やすにはどうしたらよいか、また有機農地面積を増やすにはどうしたらよいかと、地元と行政が話し合っている最中に、ラウンドアップが撒かれたんですね。
だから有機農業を推進しようとしている生産者からしたら、なんということをやってくれたんだ!という考えになって当然で、今回の事件で彼ら彼女らの感情は爆発しました。私もその感情が爆発した場に居合わせましたが、大きな声で怒っている男性や、悔しさのあまり涙を浮かべ唇を震わせている女性など、もう見るに忍びない状況でした。当然ながら農家Aさんは板挟みになるし、こうしてこの村の人間関係までもが壊されてしまったんですね。
ちなみに、行政からの資料を見ると「早期復田に向けた手法として、除草剤を使用することとし、令和5年5月2日に3者で除草剤の散布作業を実施」と、「3者」という記載がありますが、農家Aさんの名誉のためにお伝えしておくと、彼はラウンドアップを撒く作業をしていません。あまりにも心が苦しくて、自らの手でラウンドアップを撒く作業はできなかったそうです。本当に辛い思いをされたんです。
さらに、「こっちの手でナイフで刺されてんのに、反対の手で握手なんかできるかい!」と、行政主導のオーガニックビレッジ宣言の取り組みから離脱したいという農家が相次ぐようにもなりました。もう何されるかわからんから行政とは関わりたくない、と。
また、行政の責任で土を入れ替えろ!という生産者の声もありました。
地域を挙げて有機農業を推進しようとしている梶原の畑の中にラウンドアップなんかを撒いたら、そりゃ大混乱を招くってことくらい、火を見るよりも明らかでしょうに。もしそれすら予想できなかったとしたら、市長も職員も有機農業の文化や歴史を学び直す必要があるでしょうし、市長はそんな状態でよくオーガニックビレッジ宣言なんか出せたもんやな・・・。「自然と共生する魅力的なまちへ」って、どの口が言うとん?って言われますよ。
2. 6月議会での残念なやり取り
議論は噛み合わず
そんな経緯があって、6月8日の本会議一般質問に臨みました。
しかし、ほとんど議論が噛み合いませんでした。再質問の前半は部長とのやり取りになるわけですが、部長とのやり取りで話が噛み合わなかった要因は、少なくとも三つあると見ています。
一つは、市民側と行政側で「言った、言わない」と食い違いが多すぎることです。
部長にしても私にしても、普段から現場に張り付いているわけではなくって、部長は部下から、私は市民から話を聞いて、そのうえで本会議場で議論するわけですから、お互い伝聞なんですよね。そうするとどうしても話がズレてくることはあります。
ただ、今回はそのズレが大きすぎました。例えば、農家Cさんを話し合いの場から排除したことに関して、
「農家Aさんの話では、地権者の同意が得られないから農家Cさんの意向には沿えない(農家Cさんの豆の作付けはできない)」
という答弁がありましたが、後日農家Aさんに確認すると、
「農家Cさんのことはマルチの件が解決してから地権者に相談しようと思っていたことで、現段階では地権者に何も言ってもないのに、どうやって地権者の同意が得られないとか言えるねん!(意訳)」
とのことで、激しくズレております。こんな重要なポイントがズレていたら議論になりません。
で、そういう「言った、言わない」の話にならないように、との配慮で、農家Cさんが「行政との話し合いの場には、前川議員も同席してもらいたい」っていうリクエストを出されたこともあるんです。でもそれも行政に却下されました。
私は基本的にニュートラルなスタンスで物事を見ようと思っているので、もし市民側に誤解があるんやとしたら、私が同席した方が行政としてもラクやと思うんですけど、私同席の話し合いは実現しませんでした。
もうそうなると、行政との話し合いの場はお互いのために録音しましょうというのが基本路線になるのかな。そうでもしないと「言った、言わない」の不毛な議論にしかならないですよ。
二つ目は、質問に答えない答弁です。例えば、「なぜ考慮しなかったのか?」という理由を問うている質疑に対して、ただ単に状況説明で終わるとか。よくあるんですよ、議場においては。
これは国語力が不十分なのか、それとも国語力は堪能なんだけど意図的に論点ずらしをしているのか、そのあたりはわからないですけどね。
今回は市長も酷かったですね。時間が残りわずかなタイミングでの私の質疑に対し、部長が答えようとしたら横から割って入ってぜんぜん関係のない市長の思いを語り出すなど。政界の初心者なら仕方ないかと許すけど、元議長だった人が議会運営を妨害するかのように振る舞うのは許せませんね。
最後三つ目は、ビジョンが共有できていない問題です。
今回丹波市はオーガニックビレッジ宣言を出し、「地域資源を農業に取り入れる循環型農業の推進など、豊かな里山の暮らしを、未来の子どもたちに引き継いでいく取組に力を入れていきます」と宣言しているので、そのビジョンがしっかり理解できていたら、ラウンドアップなんて撒くはずありません。だけど、そのビジョンが見えていなかったら、ラウンドアップも一つの手段として登場しちゃうわけですよ。
そもそも、市民側からラウンドアップを使おうかという話が上がってきた時点で、宣言を出した行政としては「それはマズいですよ」と制止するくらいのスタンスでなきゃならんのですよ。それが、ラウンドアップを撒いても数年経ったら有機農業はできますから、みたいな答弁が出てくるようでは・・・
いや〜、今回の件は、このビジョンを理解している生産者や消費者が聞いたらドン引きすると思いますよ。梶原の生産者が怒るのも無理ないわ。
まぁそんなわけで、ビジョンを共有できないと話が噛み合うはずはありません。
以上三つの理由から、前半の部長との議論は話が噛み合わなかったと感じています。
詳しくは、動画「6月8日 前川進介議員 一般質問」の35:00あたりからご覧ください。
市長の無責任な答弁
さぁそして後半は市長とのやり取りです。
市長はこの件に関して3月議会で「トップダウンでやります(笑)」と答弁しましたが、市長自らがトップダウンで行った結果、有機で豆を植えようとしていた畑にラウンドアップを撒いて有機農業ができなくなったばかりか、梶原地区の人間関係までもが壊されてしまいました。
ボトムアップで待っていたら事が始まらないし、トップダウンで指示したら畑も人間関係もぐちゃぐちゃに。これは市長のマネジメントに問題があったと考えているので、市長は一連の出来事において責任を感じているのか?市長に責任はあるのか、ないのか?と問いました。
「私には(責任は)ないと思っています。」
と、市長の責任を否定され、その理由として、次のように述べられました。
「私は前川進介議員に対して、3月の一般質問で、私の方から言いますと言ったので、ちゃんとあれは、元の田んぼに戻しないということを指示しました。」
「私はマルチをとってきちっと田んぼに戻しなさいと言うただけ。私はちゃんとした指示をしたと思っています。」
これはつまり、トップダウンで指示をしたんだからそれでもう責任は果たしました、と読み取ったらいいのかな?これじゃただの連絡係ですよね。新入職員でもこんな無責任なことは言わんと思います。指示した行為そのものの責任ではなくて、組織として起こした結果の全ての責任を取るのが最高責任者の役割でしょうに。
ラウンドアップが散布された当初、農家Cさんがそのことについての苦情を市長にダイレクトメッセージで送ると、市長は、
「除草剤を撒いたのは誰ですか職員ですか?」
「職員が、直接作業することが理解出来ませんね。」
「分からないことだらけです。」
と返事されました(そのスクショを見せてもらって確認しました)。トップダウンで指示しているのにわからないことだらけだ、本当に職員が作業したのか?と。それにも関わらず、先日の市長答弁では
「私自身が指示した通りに動いていますので私の職員はそんなに悪くないと思っています。」
とチグハグな内容。どっちやねん!
しかもね、ラウンドアップを撒いた結果に対して、「職員は市長の指示した通りに動いたと」いうことであれば、オーガニックビレッジ宣言を出した市長が有機の畑でラウンドアップを撒いたことを是認するわけですから、もうビジョンが狂いまくっております。
さらに梶原の人間関係が悪化したことに関しては、
「梶原の人間関係があかんようになったというのは、前川議員の意識であって、私自身はぜんぜん聞いていないので、そのことについては存じ上げないということです。」
と、我関せずってことですかね。
まぁこんな感じで、トップダウンの指示で畑も人間関係もぐちゃぐちゃになっても、市長には責任はないということでした。
市長とのやりとりは、動画「6月8日 前川進介議員 一般質問」の52:30くらいからですので、動画でご覧になりたい方はリンク先をご覧ください。
60分間の一般質問が終了し、本会議が休憩に入った直後、それまで傍聴席で市長の答弁を黙って聞いていた農家さんから「市長!オレの1票を返せ!」と怒号が飛びました。議場で怒号を聞いたのは初めてなんですが、そんな怒号が飛んでも仕方ないくらい、無責任な答弁でしたね。
ピンチはチャンスと言いますが、今回は市長の信頼を掴み取るチャンスでもあったと思うんです。答弁の中で「私の指示が曖昧で、部下がラウンドアップを撒いてしまった。これは部下に責任があるのではなく、曖昧な指示を出した私の責任だ。関係者には私の方から心よりお詫び申し上げたい。」なんて発言しておけば、「おっ!なかなか責任感のある人物やな!」って株が上がって、「ほなしゃーない、今回の件は許したろか」と行政と市民がまた一緒になって事業を進めていけるように好転したでしょうからね。
この市長答弁には市民だけでなく、職員も落胆しておりました。
丹波市議会劇場 〜西本議員の愛〜
6月8日の私の一般質問で、周囲はけっこうざわつきました。
私のFacebookのコメント欄には、
「責任逃れの発言には市長としての資質が全く感じられません。」
「こんな市長がいる限り、この町は良くなろうはずがありません。」
「こんな上司を持った市役所職員は哀れなものです。」
「こんなトップは早く下ろすしかないですね。」
等々、辛辣なコメントが付きました。
また、この一般質問のライブ中継をネットでご覧になっていた県外の市役所職員からは
「何回もプフッと笑いました。市職員の公務における行動に、市長は責任取りません!wwwwww」
「職員としては、モチベーションだだ下がりですね。『職員の行動の責任は私にはない』はあかんですね〜」
とメッセージをいただき、まぁ、お恥ずかしい限りです。
そしてその翌日、残り7人の一般質問があったわけですが、その中の一人、共産党の西本議員は、「安心・安全の学校給食について」と題して、ラウンドアップの主成分グリホサートの残留が疑われる外国産小麦から、国産小麦に切り替えてはどうか?という質問内容でした。
二人で示し合わせたわけではないんですが、たまたまラウンドアップを二人して取り上げることになったんですね。
そして西本議員は元々準備していた質問が終わる頃に、
「最後に、市長に一言だけ申し上げときたいと思います。それは昨日の前川議員の一般質問の件です。」
と前日の私と市長のやり取りについて切り出されました。
「有機農業を営んでいる農家にとっては、ラウンドアップを撒くということは決定的な意味を持っているんです、悪い意味で。有機農業の根幹となる重要な問題であり、消費者をも失望させるほどの重要な問題なんですよ。そこの認識をもう一度改めていただきたい。」
と、ラウンドアップを撒くこと自体の認識を改めるよう促した後、
「あなたが指示するしないにかかわらず、職員が関与していると言うことは、やはり市のトップとしてなんらかの対応を示すのが常識だと思うんですよ。」
「市も関わってオーガニックビレッジ宣言を高々とあなたやられているわけですよ。(中略)豊かな里山の暮らしを、未来のことどもたちに引き継いでいくと、宣言しているわけですよ。」
「だから少なくとも、責任を追求して責任を取れということではなくって、関係者にはね、市長として(オーガニックビレッジ宣言を出したにも関わらず)ラウンドアップを撒いたことにね、陳謝するくらいは必要やないかと思うんですけどね。昨日の答弁では、ちょっと市長としてね・・。オーガニックビレッジ宣言も関係しているわけですから、関係者に対して対応を考えてほしいと思うんですが、いかがですか?」
と、責任追求ではなく、関係者への「陳謝」を求められました。
この西本議員の発言をどう思われますか?
そもそも、この質疑は議会運営上、御法度なんです。と言うのも、一般質問は通告の内容に従って進められていくもので、通告外の質疑は禁止されているからです。
だけど今回はたまたま私の質疑と西本議員の質疑には「ラウンドアップ」という共通点があって、その共通点を根拠に給食のラウンドアップから話を少しずつ逸らし、本来であれば通告外の質疑を止めなきゃならない議長を錯乱させ(笑)、市長答弁を求められました。
しかも、前日に最年少の私は「責任」を論点にしましたが、最年長の西本議員は「責任」よりも軽めの「陳謝」を求め、市長が「じゃぁお詫びくらいします」と言いやすいお膳立てをされたわけですよ。さすが大人!
つまり、この質疑は市政運営を好転させるための「助け舟」だったのです。
前日の段階で、私の質問に対する市長の答弁は市民感情を逆撫でするだけでなく、職員に対しても信頼を損ねる結果となってしまいました。そして市内外からの反応も悪い。そうなると今後の市政運営が困難になるのは必至です。その状況をなんとか好転させるべく、慎重に言葉を選んで市長に前向きになってもらって、なんとか「陳謝」くらいに漕ぎ着けて、市民や職員のモチベーションを上げようという西本議員の計らいだったのです。いやー、この質疑には愛を感じましたね。
しかし、西本議員のその計らい虚しく、
「関係者のことを考えたから、私自身は関係ないと、責任はないと、申し上げたんです。」
と、前日よりもさらに言い訳がましい市長答弁で、周囲は再度ガッカリすることになりました。
もちろん、ここまで来ると議長もハメられていたことに気づきます(笑)
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、西本議員、今のは質問の範疇を超えていますんで、控えてください!」
と強制終了されました。
それでも西本議員は
「責任を追求したいわけじゃない、関係者にお詫びすべきじゃないかということを申し上げて、一般質問を終わります。」
と、最後の最後まで市長に訴えながら、一般質問を終えられました。
定例会の会期中であれば、発言の取り消しや訂正ができますから、それを促されたんでしょうけどね、その西本議員の愛を受け取れなかった林市長という構図です。
そんな西本議員の愛は、こちらの動画「6月9日 西本嘉宏議員 一般質問」の35:20くらいからご覧いただけます。
今後、ボトムアップは機能しなくなるでしょうね
私と西本議員の一般質問によって、林市長は不誠実で無責任な対応を取る人なんだという印象が、市役所内外に伝わってしまいました。
これで職員の働き方が変わると思います。これまでは「私が責任を取るからボトムアップで上げてこい」というスタンスだったから、ある程度は市長に物事を言いやすい雰囲気があったのかもしれませんが、いざ議場で具体的な事例が出てくると「私には責任はない」と手のひら返し。
市長にも職員にも責任はないと断言したところで、畑も人間関係もがぐちゃぐちゃになってしまった問題は何も解決していませんから、市民のストレスは残ったままです。そしてそのストレスの矛先は、当然ながら市の窓口である職員に向かうわけですよ。これでは職員を守ったことになるはずありません。
やはりトップが矢面に立ち、然るべき時には責任を取って頭を下げるだけの度量がないと、事態の収拾が見込めず、市民も職員もが納得できる市政運営は難しいでしょうね。
私は会社を経営していますが、グッドニュースは明後日でもいいから、バッドニュースはすぐに報告してほしい、と社員に伝えています。そして、バッドニュースの内容次第で、対外的に謝罪した方が今後のためだと判断した場合はすぐに謝罪します。
またその際に社員を責めることはしません。終わったことは仕方ないので、これから同じようなミスをしないようにどう対処したらいいか考えてもらうだけです。
とまぁ、そんな偉そうなこと言うてますが、経営者になりたての30代はけっこう怒ってました(笑)若気の至りということにして封印したいくらい恥ずかしい過去なんですが、怒るとね、バッドニュースがすぐには報告されないようになったんです。そりゃそうですよね、誰だって怒られるのはイヤなんだから。
そうすると、
報告までに時間がかかる→対外的に謝罪するまでの時間が余計にかかってしまう→先方のストレスもどんどん膨らんでいく→後手の対応で余計な労力がかかる
という負のスパイラルに陥っていました。その構造に気づいてから、まぁ他にも色々と思うところがあって心理学やカウンセリングなんかも修得していったんですけど、そのおかげでだんだんと部下には怒らずに済むようになっていきました。元々が血の気が多い私ですから、これにはけっこう鍛錬が必要でした(汗)
まぁおかげさまでバッドニュースの報告が早く届くようになり、対外的なトラブルの解決がラクになりましたね。40歳を過ぎてから、ようやく(笑)
これは市政運営でも同じことだと思うんですが、市民の苦情などトラブルがあったらすぐに報告が上がり、然るべきタイミングでトップが謝罪するという構造を作らないと、市民も職員も幸せでいることは困難だと思います。
トップが謝罪しないということであれば、バッドニュースの報告が遅れるでしょうね。だってコトを解決してもらえないなら、報告のモチベーションが失せるもん。報告が遅れるだけならまだマシですが、机の中にしまい込んだままになるかも?今後、不正が増えなければいいんですけど・・。
3. 終わりに
「責任を取る」「謝る」って、人として実はけっこう難しいことなんですよね。
昨年6月定例会において、こどもの権利に関する理念条例調査研究特別委員会を立ち上げ、私が委員長に就任して、こどもの人権が守られるような地域社会を目指して活動しているところです。
こどもの権利を大別すると、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」と4つありまして、これらの権利を守るということは、言い方を変えると、
こどもなんだからまずはしっかりと甘えることができて、それに満たされたらだんだん不自由さを感じるようになるから、自ら自由を求めて自立に向けて挑戦して、そしてもしなんかあった時には、再び受け止めてもらって十分に甘えることができ、そしてまた自立に向けて挑戦していく・・。
という「自己肯定感ループ」が回る関わりをするということなんですね。
そしてこどもの権利を守って自己肯定感ループが回り続けると、自分の良い点も悪い点もひっくるめて受け入れられるようになるから、自分らしく振る舞えるし、またちゃんと謝れる人に育つんです。
逆に、このループが上向きに回らなかったら、例えば受け止めてもらって甘えたい時に甘えられず、むしろ自分の弱さを指摘されるようなことが常態化すれば、その人は不安になって自分の弱さを見せてはダメだと思い込み、人に対して頭を下げることが難しくなります。やけにプライドが高く、自分の良い点ばかりを強調する傾向になります。
そんな態度では人間関係でこじれますよね。組織運営もたいへんですよね。
だからそうはならないように、昨年から我々特別委員会ではこどもの権利擁護ができる体制を作ることで、人材育成面から丹波市の未来を明るくしていこうと活動しています。
とにかく私には、市民一人ひとりが自分らしく生きていけるような地域社会にしたいんですよ。そのためには行政のサポートが欠かせません。自己肯定感を育む人材育成もそうですし、今回の一般質問の一問目の方で取り上げた酪農業を絡めた循環型の地域経済社会を作るという提案も、国や県への依存度を減らして、経済的にも自分たちらしく自立的に生きられる地域社会を作りたいから、そのための投資の提案をしたんです。
私にはそういうビジョンがあって、それを実現させたいから日々の政治活動をしています。その基盤を今のうちに作っておいて、次世代を担う子どもたちにバトンタッチしたいので、ここでちんたらしている時間はありません。
この国は民主主義なんで、このビジョンに賛同していただける方はぜひ私を後押ししてください。これからの丹波市のために、市民の皆さんと大きな元気玉を作りたいです。
「オラに元気を分けてくれー!」