前川進介の政治日記

議会報告 2023.5.3

「こどもまんなか会議」、始まります!


強くしなやかに、そして自分らしく生きられるように



こんにちは。

以前のブログにも書いたかもしれませんが、私は2011年に鬱になって随分と苦しい思いをしました。あの当時は主観にまみれて物事を論理的に考える力が欠けていたし、ありのままの自分を受け入れることができない自己肯定感の低い状態で、出口の見えない真っ暗なトンネルの中を彷徨い歩くような感覚でした。

そこから論理学や心理学、それに歴史なんかを学びながら立ち直っていく中で、「論理的思考力」と「自己肯定感」の両方が低かったら鬱になりやすいし、逆にその両方が高ければ人は強くしなやかに、そして自分らしく生きていけるようになることがわかりました。だから私が初めての選挙に出る時にも、子どもの頃にこの「論理的思考力」と「自己肯定感」が高まるような子育てを支援すべきだと主張してきました。

で、市議会議員になってからの私の取り組み状況です。


まず「論理的思考力」を身につけられる行政サービスとして、学校の授業の在り方を変えるべきではないかと考え、過去の中学校の定期テストを開示請求し、自分なりに研究してみました。

現状の教科教育では、論理的思考力を身につけさせようとする意図があまり見えてこなかったというのが私の印象(全てを確認できたわけではないので、あくまで印象)。そしてさらに、開示された定期テストはその内容に誤りも散見されたため、教育委員会に改善を要求してきました。それが2年ほど前かな。

しかし当時の教育委員会は保身的な対応が目立ち、かなりガッカリしたのを覚えています。これじゃ子どもたちに論理的思考力なんて身につけられないでしょうね。児童生徒のことを思ったらもっと真剣に考えてほしいと思うんですが、私のこうした指摘に対して、現場の教員は嫌がっているという話すら聞きました。悲しいな。こどものことを真剣に考えているから指摘しているのに、嫌われ者です(慣れたけどw)。

今年度から長女が小学1年生になったので、学校教育において思うことを校長には伝えているんですが、こういう親がモンスターペアレントと呼ばれるのかな?と戦々恐々としています😅

いずれにしても、この執行権のない立場で改革をしようとなると、当局に内容の深い理解を促しながら信頼関係を構築していかないと進みません。そんな中であと1年半という任期では、この教育改革を行うのは無理だと感じています。先日の3月議会の一般質問で「国語で論理的思考のベースを作るべきだ」と指摘はしましたが、執行権がないから指摘止まり。悔しいけど、この件に関してはいつか執行権のある教育長にでもなって改革したい、と個人的に企んでいます😎


さて、もう一つの「自己肯定感」に関してですが、これは市議会議員の立場でも改革を推進できそうです。実は自己肯定感は、子どもにもある人権をしっかり守ることで高めることができるので、そういう条例を議員立法で作ってしまおうと考えています。と言うわけで、昨年6月議会で丹波市議会「こどもの権利に関する理念条例調査研究特別委員会」を立ち上げ、私が委員長に就任して、子どもの人権を守るための条例制定に向けて目下取り組んでいるところです。




条例を市議会主導で制定するプロセスの難しさ


特別委員会立ち上げから今日に至るまで、約10ヶ月の期間議論してきたわけですが、その内容は大きく3点。

①こどもの人権とは何か
②どのような条例を制定するのか
③制定までどのような進め方にするのか

①②を議論するのは、まぁ当たり前の話ですが、③について、なぜそんなに議論を重ねることになるのか、不思議に思われる方もいらっしゃるかと思いますので、ご説明します。

まず、このような条例は執行権のある市当局が条例案を作って、それを議決権のある議会に対して提案してくるのが一般的です。ところが今回は、市長が条例制定をする必要性を理解しなかったので、「そっちがやらんのならこっちでやるわ」と市議会で条例を作る流れになりました。ただ、市議会自らが条例案を作るのはレアケースのため、市議会主導で条例制定するというルーティーンがなく、進め方からして議論する必要があったんですね。

また、市議会が条例を作ったとしても、それを執行する側の市当局の理解が浅ければ絵に描いた餅に終わってしまいます。加えて、その条例の内容が広く市民に認知されなければこれまた形骸化してしまいます。そのため、市当局を巻き込みつつ、さらに市民の方々の参画が得られるように進めるには、特別委員会としてどのような立ち振る舞いが求められるのか、綿密な議論が必要なのです。

ぶっちゃけ、条例を作るだけなら超カンタンです。すでに他市にある条文をコピペして丹波市バージョンに編集したら、それなりの条例が出来上がります。実際にほぼコピペっぽい他市事例もありました。それだったら半日もあったら条例案くらい作れそう。

ただ、なんのためにこの条例を作るのか、その目的を考えると、そのようなコピペで終わらせてはなりません。この条例を作る目的は市民の人権意識を高めて、特に子どもの自己肯定感を育むことにあります。その一つの手段として条例を作るわけですから、形骸化させず真の目的を叶えるために最適なプロセスを創る必要があります。だからこれまで、そのプロセス、進め方の議論も慎重に深めてきた、ということですね。

そして先週開催した特別委員会は、まさにその意図が盛り込まれた内容となりました。



盛り上がった市当局との意見交換会


先ほど申し上げた通り、市議会で勝手に条例を作ったところで、執行側の市当局の理解が得られないと、せっかくの条例も絵に描いた餅になっちゃいます。

そこで先日の特別委員会では、子どもの人権に関係する3つの部署(子育て支援を所管している健康福祉部<健康・子育て担当>、人権啓発を所管しているまちづくり部、学校教育を所管している教育委員会教育部)から、部長以下計7名の職員の参加を求めました。

まずは4月から施行されたこども基本法に関連して、今後どのような取り組みを行なっていくのかを各部長から報告を求め、その後委員から質疑しました。

この時、私はちょっと嬉しくなりました。それは、子どもの権利をよく理解していないとできないツッコミ(質疑)を多くの委員がしていたからです。昨年この特別委員会を立ち上げる前から取り組んできた議員勉強会で、子どもの自己肯定感や人権に関して学びを深めてきたからこそのツッコミで、こどもの人権を守ろうとする議会に変わったなぁ、と一人で感慨に耽っていました。


それらの答弁・質疑の後、続いて職員と議員とが入り混じってのグループディスカッションを行いました。このグループディスカッション、実は市議会としてはかなりイレギュラーな事件なんです(笑)「そんなん普通のことちゃうん?」と思われるかもしれませんが、丹波市議会では初めてのことちゃう?

と言うのも、議事堂では市当局と市議会が対峙する陣形で席が設置されていることからもわかるように、市議会と市当局は対戦モードなんですよね。また議員同士も賛成派と反対派に割れると賛成討論・反対討論と対戦モードに入りますから、とにかく議事堂は対戦モードが主流なんです。

そんなもんだから、委員会が始まる前に職員に「議員と意見交換会を楽しみましょうね!」って声をかけてはみましたが、「そんなもん楽しめるわけないやんけ!」という思いがマスク越しに見え隠れしていたような😅

まぁでも実際にやってみると楽しそうでしたよ。当日は総勢17名いたので、3つのグループに分け、それぞれのグループに議員ファシリテーターを置いてディスカッションしたところ、議員だけでなく職員からもけっこう意見が出ていました。ファシリテーターが発言しやすい空気を作り、そして発言を否定せずに受け止めるもんだから、職員としても楽しめたのかもしれないですね。「普段は揚げ足を取ろうとする議員が話を受け止めてくれるなんて」という感覚もあったのかもしれない(笑)

実はこの特別委員会では、市民の皆さんと建設的な対話を重ねるために、ファシリテーション研修も受けているんです。その成果が現れたのかな。議事堂で議員と職員が入り混じって付箋をペタペタ模造紙に貼って対話を楽しむ光景も、悪くないですね。


議員と職員とがそれぞれの思いを可視化して共有



結局、グループディスカッションを終えて解散する時には、職員の皆さんもとても充実した表情になっていたようでした。「ほら、楽しめたでしょー?」という声かけにも、上機嫌な応答で、やっぱり対話の力ってすごいなぁ。こういう良質な対話を継続的に行なっていけば、市議会と市当局の関係性も良好になるんじゃない?
(とは言えズブズブにはなりませんよ、念の為)


さて、グループディスカッションでは様々な意見が出たので、その中から主な意見を列挙します。

・理念条例は市当局で作るよりも、市議会で作った方が丹波市の特徴が出せるのではないか。そして市当局が定める具体の計画は、その理念をしっかり反映したものにしたい。
・今回の3部署だけでなく、子どもに関わる他の部署との連携も図っていきたい。
・「子どもの権利を認めたらワガママに育つのではないか」という市民の意見が想定されるため、自分の権利だけでなく、他者の権利も尊重する自律性の要素も入れるべきでは。
条例は他市のコピペではなく、丹波市の実態に即した言葉を紡いでいくべきだ。
・4つの権利、全てが大事。中でも「参加する権利」はこれまで着目されてこなかったため、学校の校則を子どもが決める、地域の行事に参加するなど、取り組みを強化していく必要がある。




これら、こどもをまんなかにした、とても建設的な意見でした。市議会と市当局とが一つの方向に向かって、大きな一歩を踏み出せたんじゃないかな。




市民と一緒に作っていきたいから


これから我々特別委員会では、市民の皆さんと一緒に子どもの権利に関する条例制定に向けて活動しようと考えているわけですが、前回の委員会にて、その市民参画型の会議体を「こどもまんなか会議」と命名しました。なんかかわいいでしょ(笑)

さて午後からは、その「こどもまんなか会議」に市民の皆さんが主体的、能動的に参加してもらえるようにするにはどのような工夫を取り入れるべきか、という観点で議論しました。要は、場づくりですね。

先ほども申し上げた通り、一般的に我々市議会議員は「討論は得意」っていう人は多そうですが、場づくりが得意という人はそう多いわけではありません。そこで午後からは、場づくりの専門家であるNPO法人丹波ひとまち支援機構(たんえん)の戸田さんをお招きし、専門家からのアドバイスをいただきながら進めていきました(その間、委員会としては暫時休憩とし、オフラインで議論しました)。


これは特別委員会を立ち上げた当初に、「イノベーター理論」を用いて委員に話をしたことなんですが、まだ子どもの権利がそこまで認知されていない世の中を考えると、子どもの権利を守る条例を制定しようと動き出した我々は「イノベーター(革新者)」です。そんな我々の仕事は「アーリーアダプター(初期採用層)」に思いを伝えること、そしてその「アーリーアダプター」から「アーリーマジョリティ(前期追随層)」に伝播していくのを政治的に後押しすること、これだけだと考えています。

イノベーター理論で子どもの権利の普及を考えてみた



だから、我々は子どもの自己肯定感や権利擁護に関して熱い思いを持っている「アーリーアダプター」と繋がりを持つことが求められるわけですが、実はその行程はほぼ済んでいます。

我々の特別委員が主催して、今年の2月4日に実施した自己肯定感を育む講演会にご参加いただいた120名の多くの方が、その「アーリーアダプター」層だと見込んでいるからです。


こどもの自己肯定感を育む講演会の様子



この講演会では精神科医で『子育てハッピーアドバイス』シリーズの著者でもある明橋大二先生をお招きし、自己肯定感とは何か、そして子どもの権利を守ることが自己肯定感の向上に繋がることなどをお話しいただき、その後パネルディスカッションやグループディスカッションなどで参加者にも意見を出し合っていただきました。明橋先生は富山県南砺市の政策参与として、南砺市こどもの権利条例の制定にも携わっておられるので、先進事例の研究としても有意義でした。

明橋先生の有名っぷりもあって、この講演会には総勢120名もの方にご参加いただいたわけなんですが、実はこの120名の方を対象に、今後の「こどもまんなか会議」のお知らせをお送りすることになります。

まぁつまり、この講演会では

・市民の子どもの権利に対する意識を高めること
・子どもの権利に関する市民の声を収集すること
・条例制定について専門家(明橋先生)の意見を聞くこと
・今後の条例制定に関わっていただく仲間と繋がること


という、「一挙四得」くらいの効果を出しています。この上なくコスパ高しな税金の遣い方だと思いますよ(誰か褒めてw)


議会広報誌『たんばりんぐ』の記事




さて、話が少し逸れましたが、午後からはこの講演会に来られた「アーリーアダプター」の皆さんが主体的、能動的に関われるような「こどもまんなか会議」の在り方について、議論を深めていった、ということです。

詳細までは書きませんが、今後「こどもまんなか会議」に参加された市民の方は、ただ参加するだけでもいいし、なんなら我々と一緒に運営するのでもいいしで、我々としては幾重にも関わり代を持って進めていく予定をしています。(もちろんこの講演会に来られなかった方も大歓迎!)

ひとまず、第一回目の「こどもまんなか会議」は

5月22日(月)の
【午前の部】10:00〜12:30
【午後の部】19:00〜21:00
@柏原住民センター


それぞれ定員30名で開催します。

以降、8月、11月、2月にも計画しているシリーズものでございますが、もちろん全ての会議に出席できなくてもスポット参加でもOKです!

丹波市の未来を背負って立つ子どもたちが、権利を守られ自分らしく生きていける、そんな地域社会を創っていきましょう!それが大人の大仕事!



次回は5月22日です!来てね!
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