前川進介の政治日記

一般質問 2022.6.6

【6月一般質問】2. 時代に合った丹波市の情報戦略を

「情報」に関する現状の課題


丹波市からは、情報を分かりやすく加工して、適切なタイミングに出そうという姿勢が見受けられない。

情報そのものを届ける必要性や、情報処理の仕方によって市民生活が向上することなどへの理解が不足しているのではないか。

昨年6月の一般質問でも、情報発信におけるMECEの重要性などを訴えたが、未だ改善がみられないものも多い。MECEに関しては引き続き意識していただくとともに、今回はまた別の角度から「情報」について問う。


市当局から市民へ適切なタイミングで適切な内容の情報が届いていない


今年に入ってから農業従事者や造林事業組織から、市役所が提供すべき情報についての苦情を受けた。

・農業従事者が補助金の内容を知りたくても、どのタイミングでウェブサイトに掲載されるのかわからず不便している
・循環型草堆肥を作るのにあたり、丹波市内の土手草を使えるかと相談に行ったら1年以上連絡をもらえず放置された
・市長管理下の林道を民間で維持管理しているのだから、補助金を出せないのか?という問いに「出せない」と答えながら、実は補修に対する補助メニューがあることが後からわかった。



などなど、補助金や資源活用のための相談に対する市当局の対応があまりにも杜撰である。

聞かないとわからない農業の補助金、聞いてもわからない林業の補助金。聞いてもわからないというのは論外であるが、せめて適切なタイミングで適切な情報を提供するべきだ。

例えば丹波市や丹波市教育委員会がLINEアカウントを活用しているように、農業、林業においても補助金などの内容をウェブサイトに掲載するだけでなく、それぞれにLINEアカウントを作成し、必要なタイミングで市民にプッシュ型の通知を出すべきではないか。富の再分配はこの国の政治が担う役割なのだから、その情報が滞っている現状は改善すべきだ。




防災行政無線受信機の、現実に則していない「全戸」貸与


地域で暮らす人にとって必要な情報を流す防災行政無線は、丹波市においてはその受信機を全戸貸与となっている。

「全戸」配布の防災行政無線機



しかし、同一敷地内に棟を分け、世帯を分離して独立した生計を営んでいる場合でも、水道メーターを共有していたら貸与されない。水道メーターを共有していることが「独立した生計を営んでいる」とは言えないからだそうで、その場合は無償貸与ではなく2万円で購入する必要がある。

現実的に考えて、水道メーターを分離すると、それだけ多額の水道料金を支払うことになる。世帯を分離して実質的に独立した生計を営んでいる家庭でも、わざわざ割増の水道料金を払おうとするケースは稀だと考える。

貸与しないということは、それだけ市民に必要な情報を届けないことに等しく、このような姿勢から市当局の情報の重要性に対する意識の低さが垣間見られる。


また、過疎指定された青垣地域や山南地域では、市内中心部へ引っ越す若者が後を絶たない。それ自体を否定するわけではないが、空き家対策や独居対策のためにも同一敷地内の離れに住んでもらいたいという親の気持ちも十分理解できる。

そうした市内格差の是正や市民感情を考えると、同一敷地内の離れに居住することを推奨までしなくとも、少なくとも弊害となるものはできるだけ排除することが必要だと考える。

無償貸与に一定の基準を設ける必要性は理解するが、現実に即していない「水道メーター」による判断基準は変更すべきと考えるが、市長はどう考えるか?




丹波市と市民が双方向で網羅的に情報を得られるタブレット端末の導入を



昨年6月議会でも取り上げたが、防災行政無線は音で流れてしまううえに聞き取りにくい音質であるため、市民に対して正しく情報を伝えづらいツールであると言える。

そこで、どうせ全戸貸与するのであれば、防災行政無線の受信機よりも汎用性の高いタブレットを貸与してはどうか?音声による放送の他、テキストでも表示することができれば、情報をより確実に届けることができるようになる。

さらに、これまで郵送していた市からの情報や、郵送や来庁で行っていた各種申請を電子化することで、市民サービスの向上や職員の働き方改革も進むのではないか。

また、市役所⇄市民の情報のやり取りだけでなく、市民⇄市民の情報交換もオンラインでできれば、withコロナの時代に合ったコミュニケーションが取りやすくなるとも考えられる。

加えて、タブレットがなくとも自前のスマホでもアプリで対応できるようになれば、前述の「水道メーター」問題もクリアできるようになるのではないか。

以下のような具体的なメリットが考えられるため、私はタブレット端末を導入すべきだと考えるが、市長はどう考えるか?


市役所、市議会 ⇄ 市民

市役所、市議会から市民にプッシュ型通知


例えばお悔やみの情報は高齢者の興味関心が高いと聞く。中にはそのお悔やみ欄を見るためだけに新聞を購読している市民もいるとのこと。

そこで、遺族の承諾の元、このタブレットでお悔やみ情報を通知してはどうか。

その他、農業や林業など、市民が自分の興味関心のある分野をチェックしておけば、プッシュ型で通知がくるシステムを構築できないか。



郵便物、広報たんば、議会広報誌たんばりんぐのデジタル化


紙ベースを基本とする広報誌から、デジタルデータを基本とする広報誌へ。郵便物も含めて紙媒体からの移行で経費を削減できないか。



各種申請の電子化


神戸市から移住されてきた方が、丹波市の申請書の多さに驚かれていた。

市民からの各種申請も電子化し、市民の手書き入力、郵送、来庁、職員のデータ入力作業という労力を減らしてはどうか。

私が知る限り、認定こども園等の申請書類は職員が複数回にわたってデータ入力作業をしており、その負担がミスに繋がっている事例も経験している。

早急に電子化し、市民サービスの向上を果たすべきだと考える。



市民 ⇄ 市民

地域コミュニティ登録で情報共有


先日行われた「議会と市民との意見交換会」において、小学校PTAの広報誌を発行配布するのに年間30万円の経費を使っており、少子化の中でそのお金を確保するのに苦慮しているという声があった。

そこで、自身が住んでいる小学校区、中学校区の登録を行い、PTAからの情報もタブレットでプッシュ型で通知を受け取られる仕組みにすれば、これから少子化でまとまった会費を得にくいPTA活動においても有益ではないか。



地元企業への就職活動にも活用


これも「議会と市民との意見交換会」において出てきた意見であるが、丹波市には高学歴者が働く職場がないという声があった。

しかし実際には新卒採用をしている企業もあり、ただ単にその情報が届いていないだけように見受けられる。

そこで丹波市内の企業情報が掲載されるコーナーを作り、採用情報を知りたい人にはプッシュ型で通知するシステムを作ってはどうか。

特に新卒という若者をターゲットにするならば、このようなネットを活用した取り組みは支持されると考えられる。

地元企業に就職してもらうために奨励金を出すのも一案ではあるが、ただ一過性のお金を出すのではなく、継続的に就職しやすい環境を整えることにまずコストをかけるべきだと考える。


ふるさと住民登録した人同士の交流の場


丹波市に住んでいなくとも、丹波市に対する興味関心、愛着のある方々が「丹波市ふるさと住民登録」をされていると考えられる。

丹波市からの情報発信だけでなく、丹波市と繋がりたいという思いを持っている人同士の交流の場をネット上に作れば、そこでの交流が深まり、丹波市への移住促進にもなるのではないか。




その他の活用方法

孤独死も避けられる可能性がある


日常的にタブレットを触っていた高齢者が突如触らなくなった場合に、地域の民生委員等に通知するシステムがあれば、孤独死も避けられるのではないか。



マインナンバーカードの取得率向上にも寄与


タブレットはマイナンバーカードの登録者のみ配布とすれば、マイナンバーカードの取得率が向上するのではないか。

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