前川進介の政治日記
心が落ち着き、安心が得られると、人は自ら考え動き出すもの 〜私のカウンセリングで彼女に気づいてほしかったこと〜
カウンセラーの前川と申します😀
つい先日、40代くらいの女性からリクエストがあって、久しぶりにカウンセラーとしての仕事をしました。鬱で外出することもできない状態とのことで、当日はzoomで行いました。
私が市議会議員になるまではちょこちょこカウンセリングをしていましたが、市議会議員になってからは政治活動に熱中してカウンセリングから遠ざかっていたので、久しぶりのカウンセリングがうまくいくのか、ちょっとした不安がありました。
しかし終わってみればそれは杞憂で、対話をしていた90分間はとても充実していました。
私が理解しているカウンセリングとは、クライエントの話を受け止め、思考と感情の整理をお手伝いしながら、本当の自分はどう在りたいのかと内観を促し、クライエント自身が答えを見出していく営みだと認識しています。
私の場合はそれに加えて、自分が鬱になった経験を踏まえて自分なりに研究してきた心理学の原理原則も伝えるようにしているので、そこは私のオリジナルですね。
今回のカウンセリングでは、
・自己肯定感とは自分のダメな点をも受け入れることができる感覚であること
・自分を受け止めてくれる良き理解者がいないと、外に出て戦えるはずがない(自己肯定感ループの回し方)
・相手の顔色を気にしながらでも、自分の素直な気持ちや考えを伝えることができたらそれでOK!その結果、相手がどんな反応をしようが、自分は知ったこっちゃない(アドラー心理学)
という3点はお伝えしたかな。
そんなこんなで90分ちょっとカウンセリングしたわけなんですが、今回はにわかには信じられないくらいの成果が出ました。
以下は、カウンセリングが終わった翌日にクライエントからいただいたメールです。
翌日にいただいたメールにビックリ!
前川様
昨日はお忙しい中、お時間を作っていただきありがとうございました。
前川様の論理的な思考と落ち着いた大きな心の器により受け止めて頂いたことにより、心が安定に向かい、不思議な事が起こりました。
お話の後、安心感からの爆睡(4月からあまり眠れておらずでした)、
昨日までそもそも外出したり、人と目を合わすことすら出来なかったのですが、今日は初めての場所に自ら行き、初めて会う人と楽しく会話していたのです。
自分のことながら信じられなかったです。
自分の事を受け止めてくれる人が居てくれるから外に出て行くエネルギーが出来る、その事を今日前川様のお力添えで体感出来ました。
そして「だめな自分も受け入れる事が自己肯定感の高さ」という言葉が私にとっては大きな気づきとなりました。
本当に感謝しています。
ご自身の経験を論理的に人に伝えられ、たくさんの人が前川様に助けられていると思います。
人の為に動いてそれが幸せに繋がる、そういった良いエネルギーの循環を見せて頂いてるようです。
これからも前川様のご多幸とご活躍を陰ながら応援しています。
前川様のように大きな心の器が作れるように精進しつつ
でも本当に危ない時はヘルプをお願いするかもしれません
その際はまたお話しさせて頂けたら嬉しいです(°▽°)
ありがとうございました。
※入金処理させていただきました。明日反映されるかと思われます
※メールの内容をブログに掲載することは、クライエントの許可を得ています
実はカウンセリングの中で「自己肯定感ループ」を回していた
えー、ベタ褒めでございまして、ちょっと照れます(笑)そんな大それたことはできませんが、自分が辛い経験をしたからこそ得られた物事の見え方があって、それをこうして社会に還元できるようになったことは嬉しく思います。
さて、カウンセリングを受けるまでは家から出ることすらできなかった彼女が、翌日には初めての場所に行き、初めて会う人と楽しく会話ができたという、側から見ると摩訶不思議な現象と思われるかもしれませんが、実はこのロジックは至ってシンプルです。要はこの自己肯定感ループが回るお手伝いをしただけ。
彼女の場合、左上の安心できる居場所がなかったんです。まず両親との関係が不仲でした。自分で何かをしようとしても母親に怒鳴られるから(左下)、過干渉な父親から指示を受けたことだけする(右下)という、典型的な下向きの負のスパイラルが幼少から続いていたようです。自分の意思を受け止めてもらえるだけの余白がない関係性からは、心の拠り所は生まれません。
自分の気持ちを受け止めてもらえない経験を積み重ねていった彼女は、そのうち自己犠牲が基本となっていきます。「私は常にしんどい思いをしていないといけない」という思い込みから、大人になってからは大量の仕事を抱え込むようになり、適度に仕事の手を抜くこともできず、過労で倒れ、鬱が悪化し、自宅に引き篭もるようになってしまいました。
「自分には芯がない。」
「もう幸せのなり方がわからない。」
そんな落ち込み方をされているタイミングでのカウンセリングでした。
だから、まずは受け止めようと、今の彼女の気持ちや考えを傾聴しました。頷きのタイミングとか深さとか、そんな見た目のことは全く意識せず、とにかく心から聴きました。
そうして彼女から聴く生い立ちを冷静に考えると、日常から自分の心にフタをして自己決定できなかったわけだから、今の「自分に芯がない」状態になって当たり前で、それはこれまでの環境の問題であって彼女の内面の問題ではないことを伝えました。
そして、これからどのようにして立ち直っていくかを考えるうえでは、まずは自分の気持ちに素直になることがカギを握るだろうという私なりの考えも伝えました。まずは自分に素直であること、そしてそんな自分に対しての他者評価なんて気にすることはないこと。所謂「アドラー心理学」ですね。
この一連の対応で何をしたかったかと言うと、まずは傾聴することでループ左上の「安心」が得られるようにして、「安心」が得られたならば次はループ右上の「自立」へ移行していけるような考え方をインストールした、ということになります。
それが彼女には見事にハマりました。
お話の後、安心感からの爆睡(4月からあまり眠れておらずでした)、
昨日までそもそも外出したり、人と目を合わすことすら出来なかったのですが、今日は初めての場所に自ら行き、初めて会う人と楽しく会話していたのです。
これを読み解くと、まずはループ左上の安心感が得られて、十分な睡眠を取ることができた、そうして気力も体力も回復してきたことでループ右上に行く準備ができ、自分の意思で初めての場所で初めての人と楽しく会話をした、ということなんですね。
長い間鬱で苦しんでいた彼女でしたが、その間ご自身で内観もされていたこともあり、私の問いに対する言語化が比較的スムーズで、好転していく素地は醸成されていたようにも感じました。そして今回、切り替えスイッチを押されたってことかな。いよいよ自己肯定感ループが上向きに回り始めましたよ!この報告を受けた時は本当に嬉しかったなぁ。
ただ、人生なんて山あり谷あり。誰だって上向きな時もあればそうでない時もありますから、いずれまた私のヘルプが必要だと感じられる時がくると思います。その時はまたカウンセリングを施し、受け止めます。そしてまたループ右上に向けて歩み出せたらそれでいい。
とは言え私との対話、カウンセリングには30分で5,000円の料金がかかります。この価格が安いと取るか高いと取るかはその人次第だと思いますが、できれば支払う額は少額に抑えたいと思うのが一般的でしょう。
だから私は、将来的には私から卒業できるようにも働きかけます。
今回私と対話するまでは、彼女はなぜ自分が鬱になってしまったのか、その糸口すら掴めないような暗中模索した状態だったと思いますが、私との対話の中で、自分の生い立ち含め、そのあたりの情報が整理されていったことと思います。そこまでの整理は、自分自身が鬱を経験して、自分なりに心理学や論理学、それに鬱になりがちな文化的背景なんかも研究してきた私の得意分野であります。
しかし、しっかりと話を聴いてもらえる相手が私でなければならないわけではありません。身近にいる友人や職場の先輩後輩であってもよいわけです(もちろんある程度の傾聴のスキルとマインドは必要ですが)。身近な人から、ループの左上の存在を探せばいいし、それは一人である必要もなく、相談事の内容によって複数人から選べるようになってもいいと思います。
そうやって、徐々にでも私への依存度が下がっていけば、社会の中での自立度はどんどん上がっていき、自己肯定感ループが加速していくことでしょう。一度どん底を味わった人間が覚醒したら、強いんですよ。
もちろんそのような環境が整うまでは私を頼ってもらったらよいですし、また、ループを回す仕組みは理解できたのになぜか上手く回らないんだ、というマニアックな相談なんかも受け付けます。
なんせ、自立のメカニズムをお伝えしてサポートしていくので、自立的に自分らしく生きていっていただきたい、それが全てです。
終わりに
今回彼女からのメールにあった、
自分の事を受け止めてくれる人が居てくれるから外に出て行くエネルギーが出来る、その事を今日前川様のお力添えで体感出来ました。
という内容と同じような言葉に、先日触れる機会がありました。
それは先日、私が委員長を務めている丹波市議会「こどもの権利に関する理念条例調査研究特別委員会」にて、不登校児童生徒の支援などをされておられる川崎市子ども夢パークを視察した時のこと。
理事長の西野さんから
心が落ち着き、安心が得られると、人は自ら考え動き出すもの
というお話を伺ったんですね。
わかるわー、その順番なんですよね。お尻を叩いて動かすのではなく、安心を与えて動き出すのを待つ。
そのために、まずは傾聴です。
今回のクライエントも、私以外の身近な人にも話を受け止めてもらえるようになったら、さらにメンタルは安定し、自らの意思で自分らしく生きていけるようになると思います。
だからね、お互いが聴き合えたら、受け止め合えたら、一人ひとりが自分らしく生きていけるようになるはず。私はそんな地域社会を今は政治の方面から創りたいと思っていて、今まさに活動している「子どもの権利に関する条例」を制定することがそのスタートラインになるだろうと考えています。
子どもの権利には4つの「生きる権利」「守られる権利」「育つ権利」「参加する権利」があって、「生きる権利」「守られる権利」で自己肯定感ループの左上の安心が得られて、自己決定が基本にある「参加する権利」で右上の自立が促される。そしてこのループを回すこと自体が「育つ権利」の保障につながります。
つまり、子どもの権利が守られる地域社会で育つ子どもたちは、自己肯定感が育まれていくのです。このメカニズムを知らずに父親になった過去の自分の反省も踏まえ、この条例を制定することによって、自己肯定感高く将来にわたって強くしなやかに生きる子どもたちで溢れる丹波市にしたいんです。
もちろん、今回のクライエントのように大人になってからでも自己肯定感ループを回すことはできますし、私はそちらの支援もしますが、鬱になることは様々なリスクを伴います。だからできれば子どもの頃から自分らしく健やかに生きて欲しい。
そのための子どもの権利条例です。目の前の方の支援もしつつ、なんとか残りの任期中に条例を制定できるよう、これからも政治活動を進めていきます。
それにしても、今回のカウンセリングで、(モニター越しではありますが)何かに気づいてリアルタイムで好転していくクライエントの様子を拝見し、さらに翌日のメールを読ませてもらって、他では味わえない深みのある充実感を得たように思います。こりゃカウンセリングは私のライフワークになるかもですな。